場面が想像できて、読みやすかったです。その場に自分がいなくて良かったと思いました。
主人公はボールペンが怖いのです。なぜって、それには過去の出来事が関係していて……感情を色で表現することがあると思いますが、イメージは人それぞれの場合も。花言葉でも色が違えば意味が変わることもあります。愛情・嫉妬・純真とか。さて、このお話がたどり着く感情はなんでしょう。短編ホラーのゾクッと感が楽しめる作品です。
主人公の独白にはなんら奇をてらったものはなく、堅実で良識のある社会人を想像させる。それだけに、あのボールペンから起きた出来事の異様さが非常に際だつ。しかも下手に具体的な解説がない分ますます強い印象が盛り上がる。まるで劇薬に浸して作ったエッチングだ。 しかし……ちょっとは誰かに書かせてみたい……。
不思議なペンの話。現代ファンタジーというかのような雰囲気をまといつつ進んでいくのですが最後には……驚きのラストまでの切り返しが絶妙で、切れ味の良い短編に仕上がっています。