一見すると習作のような印象を受けますが、それ以上にタイトルは深く話の本題と結びついています。一つのテーマがしっかりとある作品なので、習作ならいいか……と読まないのはもったいない一作です。
あらすじとしては、マナという中学生の少女の作った怖い話が実現してしまい、それを真面目で優しく協調性レベル99のボクっ子であるミハルがなんとかしようとして振り回される、という感じのもの。
洒落の聞いた怪談は、怖いというより面白いもので、作者様の高い言語センスが光ります。ただ、怪談自体が怖いと言われるとそこまで……なのですが、本作はしっかりとホラーをしています。
その怖い核の部分、本作の個人的な一番の見どころは、中学生という思春期真っただ中にある、閉鎖的なコミュニティの暴力性です。それに怪談やSNSなどの最新の技術を織り交ぜ、今日的なエンタメに落とし込みつつ、協調性レベル99のミハルが立ち向かっていく……というのは詐欺じゃないレビューだと思います!
最後まで読むとぞくぞくすること請け合いです。夏に背筋を凍らせたい方にピッタリの一作と言えると思います。
ちょっと臆病な僕っ子女子中学生ミハルの周りで多発する、奇抜な怪異。
それは、彼女のクラスメイトであるマナちゃんが、意図的に創り、広めている。
だけどいったい、なんのために?
ただの七不思議とかじゃない、
まさかの方向性から飛んでくる怪談の発想はウィットに飛んでおり、怖いだけじゃなくユーモアも含み、作者様独特のセンスが感じられます。
今7番目(輪ゴムのお話を1輪と考えれば、6話目ですかね)のお話まできていますが、1話目は、どういうことなの!?という、まだなにもわからない状態で始まる突然の凶行に、ゾクッとさせられました。
クラスメイトに怪談おるやんけ!な3話目は、SNSてのやり取りもまじえながら謎に迫っていく感覚が楽しいです
それから4話目、爪の字のくだりには唸らされました!
全編通してですが、マナちゃんという強烈なキャラクターが良いです。
初っ端からサイコパスなのかと思いきや、意外とふつうの中学生らしく怖がったり、焦ったりする思考を持ち合わせていて、可愛い。自分のこと「マナ」って呼ぶの超可愛い。
あと彼女の口の悪さ、センスが抜群で、癖になります。
「顔色ブタ肉みたい」とか自分の父親のこと、「男性ホルモン多めのメイド」とか。笑
そしてときに敵対しつつも少しずつ縮まっていくミハルとの絶妙な距離感に、ハラハラさせられます。
物語の謎はまだまだ多く残されています。
マナちゃんの友達だったハルカちゃんに関する事件や、ハルカちゃんが今、どうなっているのか。とか。
ソコツネクラスタ周りの動向とか。
いろいろ気になりつつ、続きを楽しみに待ちたいと思います。