SFというにはあまりにもお粗末

「数学的根底」が変わってしまう、というネタはグレッグ・イーガンが短編「ルミナス」で似たようなものを書いているが、「ルミナス」が「向こうの人間(「この地球」)ではないひと」に「常識が書き換えられる」描写があるが、この作品の人間は1+1=3になったことに違和感を持っている描写もない上に「1+1=2であった」ことを記憶しているのにもかかわらず1+1=2と1+1=3の違いを説明する役目さえ出てこない。もしその専門知識が欠如を誤魔化すなら、一般市民の声などインタビュー向けにするならテッド・チャンの「美醜失認処置について」式にするなどがあっただろう。他には「0で割る」のような誤魔化し方があったはずだ。次の作品に期待しています。

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1+1=3