第12話 ドメスコ計画
このような「あわやドメスコ」といった状況の中、彼女は巷で注目を集めている人物たちに憑依し、彼らが自身を救済する才覚のある者かどうかを見極めていた。
このような活動をする内に、彼女は「萎不知」を発見し、そのペニスに着目することとなったのである。
まず手始めに、ドメスコ女史は生き霊として彼のボッキ体に憑依したところ、「このボッキには救世の素質がある」などと確信した。
そして――「この救世の才覚には、自身の危機を打開するための布石となれるものがある」とまで萎不知のボッキに心酔した上で、手早く「ドメスコ危機」打開のための作戦を脳裏に展開し始めた。
その計画とは、既にボッキズムに神性を認め始めていた「萎不知」に対し、神秘主義を教唆し、自身が開設する予定の新興宗教「フェロモンタ教」のご神体としてデビューさせ、宗教化を狙うというものであった。
先述の通り、ドメスコ女史には悪魔認定裁判が係争中であり、彼女が悪魔として認定されれば、悪魔祓いの対象となり得えてしまう。
そこでドメスコ女史は、自身を「聖人」化させることによって、悪魔認定を回避しようとしたのである。
ちなみに我が国の聖人認定は、信者数100万人以上の規模の宗教の教祖、またはその宗教の殉職者が対象とされる。
基本的に聖人となった者は、百科事典にその名を記載されることを保証されるほか、外患誘致や国家転覆など――よほどの重大事件を犯さない限り、原則的には「悪魔認定」されない。
「せいぜい、私の罪などファミリーに心霊写真の思い出を添えるくらいのもの――」
このようにドメスコ女史が宗教化による肩書き認定を目論むことは、自衛的判断の一環としても、ごく自然なことであった。
また、ドメスコ女史の振る舞いがいくら下らなくて横暴でも、それが出来る能力自体には高い評価を得ているほか、生き霊界では名の知れた存在ではあったため、宗教化にはマニア層のフォロワーがつくことが予想された。
「それに萎不知を神に擁立すれば、チョコバナナの利権が獲得出来、老人生活を愉しく暮らせるに違いない」
以上のような目論みの元、ドメスコ女史は、先の政見放送に幽体離脱での出演を行った。
イチネンボッキ 猫浪漫 @nekoroman5
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。イチネンボッキの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます