去病

作者 猫浪漫

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★★★ Excellent!!!

最初の一行めから凄惨なことになっています・・・

日頃よりエキセントリックな作者様の若かりし時代の処女作ということでしたが、もしもこのような作品を携えた若者があらわれたとしたら・・・

やばいやつが来た、ざわざわ、となりそうです。

いじめられっ子が神という概念はすぐには理解しかねましたが、作者様にとっての気付きが存分に込められているように感じます。

苛める側が抱く、苛め相手に対してのゆがんだ畏怖や憧れ、陶酔が伝わってまいりました。

生贄が神という考えはもともと私にはないものでしたが、かつて好んで学んだキリスト教とも不思議に一致しています。

神は全人類を救うために、救世主であるイエスを与えたとされています。

聖書の言葉は基本的に理解しかねる部分が多いのですが、先にいたすべての人を救うために、罪なきイエスがすべての人の罪を背負い、生贄となるために神によってつくられたのです。

その生涯は、まさに生贄として民に惨殺されるわけです。

あの世界的大勢力を誇る宗教のストーリーの中でも、いかに理不尽な迫害をも受け入れることが神々しい、神の行為とされています。
その恐るべきプロセスを経て、イエスは神と崇められるようなったのです。

このお話はキリスト教とはなんの関連もないのでしょうが、生贄が神という概念からこのような思いを馳せました。

苛める人たちの言葉遣いの丁寧なことも独特の雰囲気を醸し出しています。
作者様の、生贄に対する生半可ない憧れや心酔ぶりが伝わってくるようです。

ラストは不思議に美しく感動的ですらあります。

このような作品を描く若者は不気味な存在でもありますが、文豪の風格を感じさせる自分ワールドをお持ちであること、またその表現力、果敢さに敬服するしだいです。

★★ Very Good!!

人の業、自分自身の業について、心をえぐられる思いのする作品でした。

決して美談ではなく、捉えようによっては、醜悪ささえ感じさせる内容・・・なのですが、筆者の方の冴えざえとした文体や表現力に、思わず読み込んでしまいます。

またこの方が、なぜこれほどまで生贄を愛してやまないか。
その片鱗を見つけることができるでしょう。

短い話数の中に、濃い内容が凝縮されています。

うわべだけの、口当たりがいいだけの作品にはウンザリ・・・という方にこそおすすめしたい作品です。