ガチョウ戦隊『ガチョレンジャー』~アヒル将軍の切り札は、まさかのフクロウパイセン~

桝屋千夏

BirdNo.2960 絶体絶命!?フクロウパイセン現る!!

【前回までのあらすじ】


 暇苦夜夢カクヨム胡にネッシーがいたら『ガッキー』か『クッキー』か、というどうでもいい話から暇苦夜夢カクヨム胡の覇権争いにまで発展した『第三次暇苦夜夢カクヨム胡頂上決戦』

 宿敵、アヒル将軍の刺客の前に黄ガチョウと緑ガチョウが戦列を離脱する。

 そんな中、還暦を迎えた銀ガチョウの口利きで、ついにアヒル将軍の眼前に辿り着いた赤ガチョウ達。

 が、そこへ端倪すべからざる人物(鳥)が!


 ******


「グワグワワ、グワグキャワグワ」

(これで終わりだ!アヒル将軍!)


「クワクワクワ、クワッカカッカァカァ」

(ふはふはふは!それはどうかな?)


「クワイ」

(なに!?)


 すると、目を血走らせた赤ガチョウの眼前を大きな鳥影が横切り、その刹那、緋ガチョウが押し倒され、辺りに群青ガチョウの甚だ痛苦なる金切り声が轟いた。


「グワーッ」

(ぐわーッ)


「「グワッググーワグーワ」」

(群青ガチョウ)


 そこには赤ガチョウの盟友にして、かつて共に『第二次暇苦夜夢カクヨム胡頂上決戦』を戦った英雄。

 フクロウパイセン(無職)の姿があった。


「グワッガッガッグガ」

(なっ!フクロウパイセン)


 フクロウパイセンは歯の根も合わない群青ガチョウの頭に自らの鍵爪を食い込ませると、静かに翼を畳んだ。

 そして、一眠りするかのようにその獰猛で微視的な瞳をそっと閉じる。


 烏の頭白くなるが如くに鍵爪がたちまちのうちに群青ガチョウの頭にずしりずしりと滑りこんでいく。

 脳にまで達したのか、群青ガチョウは気息庵庵に声を絞り出した。


「グワッカ、ガ、ガガガ、ガチョン」

(せめて、青ガチョウが、良かっ、た)


「「グワッググーワグーワ」」

(群青ガチョウ)


 群青ガチョウは息筋を張り、鳥の将に死なんとする其の鳴くや哀しの如く最後の言葉を言い残すと、白鳥のように純白の肌(羽毛)を血生臭い色に染め、静かに雲散鳥没となった。


「グワガァグーワガガガワガグワ!」

(くそぉ、よくも群青ガチョウを!)


「グガ!」

(そうよ、フクロウパイセン!あなたは私達の味方じゃなかったの!どうして!どうしてこんなことするの!あの優しかったフクロウパイセンはどこにいっちゃったの?ねぇ、お願い!目を覚ましてよ、フクロウパイセン!フクロウパイセン!!)


 闇夜に烏雪に鷺と言われる程の赤ガチョウと緋ガチョウが、いくらフクロウパイセンへ訴えてもフクロウパイセンは眠ったかのように一切応じようとしない。


「クワクワクワ、クックワッカァゴホゴホ」

(ふはふはふは!フクロウさんは俺の切り札!金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるとはこの事だ!)


 アヒル将軍は、まるで勝利の雄叫びのように高らかに笑い声(鳴き声)をあげ、尺骨を力の限り振り上げた。


「グワガガ!ググガグワワワグワ!」

(フクロウパイセン!俺はあんたを見損なったぜ!)


 裏切ったフクロウパイセンを前に、赤ガチョウの胸(フォアグラ)に鳥交ったように闘志がみなぎる。


「グワッ!ガガワグワーグーグワ!」

(だがな!もう昔の俺じゃねぇ!)


 赤ガチョウは上腕骨を力強くバタバタと水面を叩きつけ、水飛沫が辺りに舞い上がる。


「グワガガガグワガグワグワ!」

(倒れていった仲間の分まで、俺はあんたを必ず倒してみせる!)


 烏の足跡を浮かべる赤ガチョウを尻目に、生き絶えた群青ガチョウの上に首を捻った状態で悠然と鎮座するフクロウパイセン。


 赤ガチョウはさほど大きくもない翼をばしゃばしゃと水面に叩きつけ、水面下で必死に足を動かし、フクロウパイセンに向かって泳ぎだした。





 果たして、赤ガチョウの思いはフクロウパイセンに届くのか!

 それとも鳥無き里の蝙蝠となるのか!

 勝負の行方や如何に!



【次回~フクロウパイセンの本音!「夜行性だから早く帰って寝たいのに……」~】



 来週も獣蹄鳥跡の暇苦夜夢カクヨム胡に嵐(水飛沫)が巻き起こる!

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