一つ目の宝は二つ目の宝玉
延々と広がる草原を若き二人が歩み行く。
ここは獣人国からそう遠くはない場所である。
天候、気候は安定しているものの、年中灼熱の太陽に照らされ続けられている。
「あちぃ........」
両肩を落とし、腰を曲げ腕をダランとさせただらしのない男はルイ・ウィリアムス。
夢追いのトレジャーハンターの一人だ。
彼の横で背筋を伸ばしたまま右腕で汗を拭う彼女の名はメイ・オウル。獣人族のフクロウ科だ。
「........メイ、なんで君はそんなに平然としていられるんだ........」
「フクロウはある程度耐熱性があるからね」
メイはそう言ってルイにボトルウォーターを手渡す。
「おお、助かる........」
今二人はこの地のどこかにあるという伝説の大国『大西国』を探している。
「うーん、私の持ってる古文書にはここの大地にあるはずなんだけど........」
メイは本をパラパラ捲りながら辺りを見回す。
「本当にあるのか?」
「うーん、本には『はるかよりいでし大西国、とある男により発展するも栄枯盛衰。大国、武力衰退、一般都市化。かの街サンゼル川のほとりにあったが唯一の救い』って書いてあるのよ。」
「........」
読み書きのできないルイはメイの言っていることを信じ進むしか無かった。
こうして歩き続けること早三日。
大地は草から段々と砂へと変わって行った。
「はぁ、もうここ草原じゃなくて砂漠だよ?本当にここに........!」
愚痴を言いかけたルイが何かを見つけて驚愕する。
「どうしたのルイ?」
メイがルイの横で見たもの........それは........
眼下に広がる緑のジャングル。
足元には断崖絶壁が広がり緑の大地とは遮断されていた。
更に、崖のすぐ下には大きな川が........。
「これは........サンゼル川!」
メイが歓喜の声を上げる。
「しかし、一体どこに大西国はあるんだろうか?」
森の中にも川辺にも集落らしきものは見つからない。
二人で悩んでいると突如下から吹き上げるような強風が。
「きゃあ!」
メイはスカートを抑えながら風を耐える。
「まずい!竜巻になるぞ!」
風はルイの予想通りに強く、大きくなっていき、辺りの砂と共に二人も風の中に吸い込まれていってしまった。
二人はぼんやりとした暗闇の中目を覚ました。
「うーん........ここは........」
ルイが起き上がると、目の前に現れたのは建物全てが金色の黄金都市。
「なによ........これ........!」
メイも目を覚まし目の前の光景に驚く。
「メイ!これはなんだ!?」
「ちょっと待って........」
メイは別の本を取り出し捲り始める。
「分かった!『伝説の大国、大西は地殻変動により、地下に沈没。独自の文化と共に発展し、建物全てが黄金に包まれている。その場所には伝説の宝竜の魂を解放するための二つ目の宝玉が存在していると言われる。』ですって!」
二人は顔を見合わせ、歪ませる。
「二つ目?」
メイはまた本をめくる。
「1つ目の宝玉は獣人にあり」
........。
二人の間に沈黙が走った後、
『えーーー!』
と、驚きの事実に驚愕した。
The treasure hunter 〜世界を揺るがす伝説の宝〜 @Wisyujinkousaikyou
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