【KAC10】バーグさん


 前回までのあらすじ!


 ついにイオンコート高崎駅前に到達したわたしとイスカンダール真美の前に、志乃ちゃんが立ちふさがる! なんと、すべての黒幕は志乃ちゃんだったのだ!(そうか?) 高崎の街をイオンモール高崎で覆い尽くそうとする志乃ちゃんの野望を打ち砕くため(イスカンダール真美は)志乃ちゃんとの最終決戦に挑む!!(わたしは別にどっちでもいいが)


「イオンモール高崎がアレしようと高島屋がアレしようと、高崎なんか高崎でしかない気がするけど」

 わたしが根本的なところに疑問を呈すると、志乃ちゃんとイスカンダール真美はふたりして憤慨したような表情を見せて、すごい剣幕で反論してくる。

「なにを言っておいるまsmすの沼田さん!? 高崎には成城石井があるんですnおよ!? 成城石井があるということは、六本木とは言わなままいでも赤坂あたりとは十分に戦える街になったとういうことでうsわ!!」

「あと高崎オーパにはリンツとかエッグベネディクトのお店などもあり、もはや時空が歪んでこの一帯だけは原宿や青山と変わりません! 宇都宮と大宮にはすでに勝利しているのです! あとはBEAMS……BEAMSさえあれば、高崎は原宿になる……!!」

 え、いや本気でなに言ってんのか分かんないんだけど。別に原宿になる必要はなくない? やっぱ、ありのままの自分自身を認めて受け入れられるようになるのが成長の第一歩目だし、高崎は高崎だという認識が必要だと思う。

「あと、高崎は文化の街ですnおよ! 美術館もあっtて、大きnあ劇場もできますし、いま全力でオシャレな街に生まれ変わろうとしているところなんでうsのよ! そこをあんな……イオングループのような蛮族に任せては、mあた文化の担い手がツタヤとゲオしかない暗黒の時代に逆戻りしてsいまいまいあmすわ!! これからも、高崎のシンボルを担うのあh高島屋です!!」

「高崎には新幹線が通っているんですよ! 赤坂に新幹線がありますか!?」

 いや、どっちが勝ちとか負けとかそういうもんじゃなくない? 別にそんな血眼にならなくても、わたしはわりと今のままでも好きだよ高崎。

「だいたい沼田さんはそいういう煮え切らんない態度を取るnのがよくないのでうsすわ! なにもかっmも全てを選ぶことはできませんのよ!? 人間、いつかはなにかを捨てどちらかの道を選ぶ、決断を迫られる時がくるぅnのですわ!」

「そうですよ沼田さん! わたしが巨大フクロウにさらわれたというのに、行きずりのイスカンダール真美と普通にイオンモール高崎を満喫しているなんて!! いつになったら本気を出して助けにきてくれるのかとヒヤヒヤしましたよ!」

「狂言を弄して沼田さんの気を引こうなどと、手口があshkあですわよ桐生さん!!」

「なにを! あなたこそ高島屋派のくせに普通にホクホク顔でイオンモールデートを楽しんでたじゃないですか! やっぱイオンモール高崎が好きなんでしょ!?」

 なんか喧嘩の焦点がどんどんズレてってない? 喧嘩するなら喧嘩するで、あれもこれも全部ごちゃまぜに不満をぶつけ合うんじゃなくて、今回はこのトピックについて喧嘩をしましょうって切り分けて喧嘩をしたほうがいいと思うけど。そもそも、これなんの喧嘩なんだったっけ?

「最終的には! 沼田さんがわたしとイスカンダール真美のどちらを選ぶのかという話ですよ!」

「そうでうsわ沼田さん! わたしと桐生さんのどりらをお選びになりますの!?」

 あ、なに? これっていま、ガチレズとガチレズがわたしを真ん中に置いて、わたしを取り合っている展開なわけ?

「沼田さん! わたしと共に世界をイオンモール高崎で埋め尽くしましょう!」

「悪の誘惑に屈してはいけませんわ沼田さん! わたしと共に高島屋を守りましょう!」

「沼田さん!」

「沼田さん!」

 ええ……、そんなんどっちを選ぶの? とか聞かれてもさ。

「いや、わたし普通に彼氏いるんで」


 どっとはらい。 <完>






「で、作者様。これはいったいなんだったんですか?」

「さあ……いったいなんだったんでしょうね……? わたしにもよく分かりません」

「どうしてイオンモール高崎が悪の総本山なのですか? いえ、書き直せということではなくて、どうしてなのかなと思って」

「それはあの、為三さんっていうツイッターで仲良くしている作家さんがいるんですけれども……いや、別に仲良くはないな。うん、仲良くはないです。まあそういう人がいて、その人への嫌がらせですね」

「ふーん、嫌がらせですか。まあいいんですけれど。で、なんで勝手に連作にしてるんです? これ、そういうコンテストじゃないですよね」

「いえ、思いついてしまったものですから、やってみようかな~って」

「どうして言われたことをちゃんと言われたとおりにできないのですか? ひょっとして作者様、そういうのを個性的ってことだと勘違いしてたりしません?」

「決してそういうわけではないのですが……ちょっと変わったことをしてみたいなぁって」

「いやまあ、わたしは別にいいとは思いますよ。はい。まあ良く書けているんじゃないですか? 下手なりに」

「はあ……恐縮です……」




<完>

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

3周年の例のアレ 大澤めぐみ @kinky12x08

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ