学年みんなで異世界召喚! ―俺以外誰も元いた世界を覚えてない―
朱鳥 水
第1話 異世界召喚
「おはよー」
クラスのドアをガラリと開け、徹夜明けの頭を働かして挨拶をする。
俺は
眠い目をこすりながら窓際にある自分の席に行こうとした途端......
「わっ!」
肩をポンッと叩かれて一瞬ビクッとする。後ろを振り向くとそこには太陽みたいに輝く眩しい笑顔があった。
学年1の美少女と言われ、裏ではファンクラブまでできてるという俺の幼馴染、
「なんだ、彩香か。驚かせるなよ」
「えへへー。びっくりしたでしょ?」
いつものことだが彩香と話しているとクラスメイト達が羨ましそうにこちらを見てくる。でも、まぁ幼馴染特権だということで大目に見てほしい。
彩香は俺とは正反対で友達が多く、誰とでも気さくに話す明るいタイプだ。クラスでは学級委員なんかも務めていて、リーダーシップもある。成績は平均ちょい下ぐらいだけど運動に関しては右に出る者はいない。100メートル走は9秒代で学年一の記録を叩き出している強者なのだ。
「おー、凪雲。今日も眠そうだな。昨日は徹夜か?」
「よく分かったな。新作のゲームに没頭してたら気付いたら朝でさ」
俺に話しかけてくるイケメンはもう一人の幼馴染、
「新作!?」
新作のゲームという言葉に彩香がめざとく反応する。
「やったー!それなら今日の放課後凪雲の家に集合ね。さしぶりに3人でゲームしましょ? テスト明けだから部活もないし、丁度いいじゃない!」
「「俺達の予定は!?」」
「どうせ、無いでしょ。今日は月曜日。二人の習い事がない日だし、一緒に出掛けるような彼女もいないんだから。」
「事実だとしても言うなよ、傷つくだろ!?」
こんな会話が毎朝の日常。こいつらとはお互い家が隣同士だってこともあって幼稚園の頃からの付き合いだ。
3人中、2人は美形、残り1人は平均的。どうせなら俺も美少年にしてくれたら......なんて考えたこともあったけど、学年1人気の2人と仲良く出来るというだけでかなり得だと思うと、あんまり気にならない。それに幼稚園の頃から一緒なせいでもう慣れている。そんなこんなで3人で笑い合っているうちにもう予鈴がなる時間になっていた。
「わ、もうすぐ予鈴なるじゃん!私たち、そろそろ教室戻るね〜!昼休みにまた来るから!」
「やべぇな。急げ、急げ。凪雲、授業中寝ないようにな?」
2人がそう言ってそれぞれの教室に帰っていく。俺は今度こそ自分の席に向かって歩き始めた。
机によいしょと荷物を下ろして用意をしようと席に着く。
『あーあー。テステス。聞こえますか〜?』
途端に声が聞こえてくる。小さな女の子みたいな声。どうやら校内放送ではないらしい。直接声が頭に響くような感覚だ。
「なんだ!?」
「なにこれ!」
クラスメイト達が一気に慌て始める。
『あ、聞こえてるっぽいですね。それなら、説明しますよ?一度しか言わないのでよく聞いといてくださーい』
俺達が慌てていることなんて気にしないように少女(?)は話し始めた。
『今から皆さんを異世界へと召喚します!そして私達の世界を救ってください!もちろん、ただとは言いません。皆さんの暮らしは保証しますし、一人一人にピッタリのスキルをプレゼントします!』
「何言ってんだ?」
「異世界!?」
異世界?召喚?この子はちょっと厨二病なのかな?
でも、ラノベ好きとしては異世界召喚には憧れるものがある。俺の中の一度はしてみたいことランキング一位にランクインするほどなのだ。
『今、私のことを厨二病の可哀想な女の子だと思った人!違いますよ!これは現実ですからね。いやー、これぞテンプレ!素晴らしい!』
少女(?)は俺の心の中が読めるのか考えていたことをズバリと言ってきた。顔は見えないがものすごくドヤってる......気がする。
『あ、でも説明めんどくさいなー。見てもらう方が早いですよね......まぁ、混乱するでしょうけどとりあえずこっちに喚びますね? いっきますよー......魔法陣展開!詠唱破棄。召喚開始!』
いつもの教室の床に謎のサークルが浮かび上がってくる。ゲームとかでよく見る魔法陣だ。俺が「なんだこれ!?」と思ったその瞬間、辺りは白い光に包まれた......
学年みんなで異世界召喚! ―俺以外誰も元いた世界を覚えてない― 朱鳥 水 @hina1227
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