目に見える素振り。
耳に聞こえる声色。
それとは裏腹な、胸の中のゆらめき、妬み、動揺。
世に溢れる物語の中、あるいは現実に聞こえてくるそこかしこの人々の声が、無防備に賛美する“友だち”という人と人との繋がり。
それって実はそんなにシンプルで、潔くて、ただ美しいだけのものなんかじゃない。
この物語は、そんな彼女たちの胸のうちを、こっそり、圧倒的なリアリティで覗かせてくれる。
バニラアイスに粗挽きの黒胡椒をちょっぴりふりかけた時のほのかなピリ辛さような、その時期特有のささやかな残酷さも、ほんの少しだけ添えて。