第2話
「さて、アルト…今後の話をしましょうか」
路地を少し行ったさきの宿を取り、計画の相談をすることにした。
「はい、ですがその召喚術士を見つけたとして我々の力になってくれるでしょうか…」
「分からないわ、でも国を取り戻すためにはとにかく力が足りない。確かによくない噂を沢山聞くけど強いのは確かだから」
1年も前の話だ
元々アザリアはとある国の王位継承権を持つ王女だった。
ここで過去形で言われているのはもう既にその国は存在していない。
現在では魔族が支配している領域となっているからだ。
そこでは魔族が人間を虐げているとも、生きている人間を全員殺したとも言われている。
実際にそこに向かった者も居たが誰一人として生きて帰った者は居ない、実態は闇の中である
「仮にこの町に居たとして、彼は悪魔や怪物を従え敵の数千もの魔族を1人で屠ったと呼ばれていますが…」
アルトはひとつため息をこぼし苦い顔をする。
「お嬢様、そろそろ別の方法を模索するわけにはいきませんか?…例えば周辺国で勇義軍を募りその軍を率い、少しずつ奪還していくなどは」
アザリアはその言葉を聞いて首を横には振る。
「いいえ、今更無くなった国。しかも魔族の支配している国に多くの人が集まるとは思えない、むしろ個人に頼む方がまだ望みはあるわ」
「確かにそうかもしれませんが…」
「現実的ではないのは分かってる!それでも…」
アザリアにとっては諦めきれないのだ。
父と母が命懸けで守ろうとした国から護衛の騎士長と共に自分1人だけ逃げ出せたものの自分自身が国のためになにもできなかったから。
その国を魔族の支配を断ち切り、自らの方法で取り戻したいのだ。
それはアザリアが抱いた一種の復讐心だ。
しかしアルトにもそんな考えが無いわけでは無い、だからこそ止めることが出来ない。
しかし居ると言われたこの町を見つけるのに1年近くの時間をかけてしまっているのだ。
だからこそ覚悟を見なければいけない、何らかの決意を、それこそ復讐心でも構わない。
「貴方がこの旅をここでやめるというなら
(そろそろ…か)
「申し訳ございません、余計なお世話なようでした。…私も年を取りました」
「貴方はまだ若いでしょうに…」
「とはいえです」
「どうやって彼を見つけましょうか。彼はおそらく姿を眩ますだけでなく自分自身の認識操作をも行っていると考えられます」
「えぇ、でも私は彼を見つれるための手だては考えてある」
「それは?」
「その方法は……」
アザリアはその手だてをアルトに話した後、宿をあとにした。
代償召喚術士と亡国の姫 一時的に連載停止します 釣場 亜蓮 @allen9630
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