第53話:(最終章)食中毒が起きた2
少しして、病室を後にして、彼に教えてもらった、電話番号に電話して、奥様に用件を伝えて、家へ伺った。残った唐揚げは、これですと言うと、全部いただいて検査させていただいて宜しいですかと聞くと、好きなようにして下さいと言うので持ち帰り、立川保健所に持ち込んで、理由と患者さんの状況と嘔吐と下痢の話と検便と嘔吐物がない事も話した。
わかりました、調べて見ますが、食べて、すぐに症状が出たんですねと、確認するのでそうですと答えた。検査して、また連絡しますと言われ、連絡先を教えた。4日後に会社に保健所から、電話がかかって来て、安田健一にかわって結果を聞くと、黄色ブドウ球菌、セレウス菌、陰性であると報告された。
すぐに、この結果を安田達夫に知らせるとやっぱりかと言ったので、どういうことですかと尋ねると、詳しい事は後で話すと電話を切った。達夫は病院に見舞いに行った後、立川郊外に住む、木村大悟、男性、78歳について、彼の家の周りの住人に聞いて回った。すると昔から近所で、家族3人で小さな定食屋をやっていたが、立川に新しくできた料理屋に、お客を奪われて、お客が減りだして、夫婦で継続して店をやっていたが、続かず10年前に店をたたんだ事がわかった。
彼に、真実を話しても、面倒な事になるだけだから、事を大きくしないでおく事にした。数日後、社長の健一と達夫が、木村大悟の家に菓子折をもって行き、早期に、退院できて良かったですねと言うと、ばつが悪そうな顔をしていた。
食中毒の検査結果はと、聞くので、達夫が、それは、あなたが一番良く知ってるはずですよと笑いながらい言うと、そりゃどういう意味だと、怒るので、木村さんが、昔から、近所で食堂をやっていた事はわかってます、その苦労も同業者として良くわかります。
しかし、食中毒、と嘘を言って因縁を付けるのは、良くない、下手すれば、評判ががた落ちになり、あなたの店と同じように、倒産するかもしれないんですよと、冷静に言った。すると、奥にいた奥さんが出て来て旦那さんに、あんた、そんな事をしたの怒鳴った。いくら何でも、情けないよと、大声を上げて泣き崩れた。
すると、旦那さんが、申し訳ねー、「妻有の里」のせいで、うちの店がつぶれ、最近、首都圏で急成長して行くのが悔しくて、こんな事をしてしまったと謝った。
すると達夫は、懐から厚い封筒を取り出して、商売人の心意気を忘れなかった奥さんへの心付けですと言い、彼の奥さんに渡した。すると旦那さんが土下座して頭を畳に、こすりつけて、本当に申し訳ありませんでしたと、涙ながらに謝るので、達夫は、お互いに、残り少ない人生だ、真っ当に、生きていこうぜと言って、邪魔したなと、社長の健一と共に、彼の家を後にした。
帰り道、健一が、「親父って、やっぱりすごいな、見直した」と言うと、達夫が、「今度は、お前が、俺の代わりに、妻有の里を守っていくんだぞ」と言うと、「その二人を照らす月が微笑んでる様に、帰り道をしっかりと照らすのだった」。(終了)
戦争成金の末裔は商売人 ハリマオ65 @ks3018yk
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