第52話:食中毒が起きた1
そうして、2週間が過ぎ、教える事はなくなり、後は、書類をみて、勉強するように指示した。達夫の会社の情報の説明が終了すると、電車で出店まわりや、電車とバスで工場回りして、挨拶して回った、その時、メモとカメラを持って動き回った。2021年も7月に入り、地道に毎日、同じ事をして7月20日に、全店と全工場を回った。
1ケ月ぶりに会社の事務所に達夫が顔を出すと、社長の健一がいて、久しぶりというと、健一が「なぜ・妻有の里に多額の融資をしたの」と真剣な目で聞いてきたので「夢子さんがいたからだ」と言うと、ふざけないで、「真剣に質問してるんだから」と言うので、達夫は、「この仕事は、初期投資がかかるが地道に仕事をして、少し工夫していれば、必ず儲かる」と感じたからだと言うと、もっと具体的にと聞くので「利益率が良いから」と答えた。
すると健一が、「そうか確かに、原価率が低く、大きなへまさえしなければ、食品は、必ず需要があるからか」と、納得していた。「つまり地道に経営すればリスクが、少ないと言うことだ」と言い、「ただし衛生管理をしっかりしないと食中毒を起こし、致命的なダメージをくらうのでリスクは大きい」と言った。
健一が、「確かに、とうなずいた」。食品業界では「原価率低減と、あとは作業効率と運搬効率などを見れば良いって訳だ」と言った。達夫が「だいぶわかってきたな」と言うと、まーねと答えた。
2021年9月2日「妻有の里」の会社に立川保健所から食中毒が発生したと報告があり患者さんが立川共済病院に入院していると電話が入り急いで電話を取った秘書さんが安田健一社長に替わり、聞くと、男性78歳、昨日、夜19時頃「妻有の里」立川駅前売店で買ったスパイシーチキンを食べたところ、吐き気と下痢の症状が起こり、食べたものを全部と入れて吐いたというのだ。
安田健一は達夫に電話して、患者さんの病院見舞いと、保険所へ一緒に行って欲しいと言われ、了解して、病院へ向かい、病室で患者さんに、深々と頭を下げた。患者さんの名は木村大悟、男性、78歳で、腹が痛そうにしていた。
冷静に達夫が昨晩、買っていただいた鶏の唐揚げを食べたときの感じはどうでしたかと聞くと、食べて数分後、したが痺れたと言い、その後、急に気持ちが悪くなり、トイレに駆け込んで食べたものを戻し、少しして、強烈な下痢の症状になったと語った。
お買い上げいただいた鶏の唐揚げの残りはありますかと聞くと、それは女房に聞いてくれて、俺は入院し、動けないというので、残りの唐揚げをいただいて保健所で、調べてもらいますというと、それは勝手だが、この病院の支払いや、休業補償は出してくれんだろうなと、大きな声で言うので達夫は何かおかしいと感じた。
ご迷惑をかけたのですから、もちろんですと、冷静に言った。すると、その男が、この話は、まだ誰にも話していないし、示談にしてもいいと言い出した。それに対して、安田達夫が、とんでもありません、原因をしっかり調べてから考えましょうと言うと、その男が、大きな声で、勝手にしろとどなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます