伏せ字なき世界よりの使者

昨今のエロ動画のワンクリック保存ができなくなったことを鑑みるにこの作品のようなディストピアはすでに始まっているのかも知れない。
現代社会の警鐘として問題提起されたかかるべき未来を見据えたSF社会派アクション小説ともいえよう。
MUDな科学者を通してノスタルジーを交えた人間味溢れる苦悩を描くのは著者の一貫したスタンスがうかがえる。
そしてエロスをお笑いに昇華するテクニックと余韻を残す読了感の演出は秀逸このうえない。
最後に余白から「ひゅーほほほほ」の笑い声が想像されて止まない。