隣の住民

「ラパス様ー、向こう岸にー」

そう言って飛び出して来たのはロビンだ。

出てくると鎧人との交渉に差しさわりがあると考えてたので、待っていてくれるように言っておいたのに飛び出して来た。


「「きゃぁぁーー」」

案の定、女性たちはロビンを見て叫ぶ。


だが、ラパスはなぜロビンが飛びだして来たのか理解できた。

向こう岸にダイア―ウルフの群れが姿を現したからだ。

女性たちもラパスの視線に気づきそちらを振り返る。

先ほどまで叫んでいたのに今度は息をのみ込む。


ダイア―ウルフはケガをしているようだが、それでも逃げ切れるとは思えない。

10頭以上いる群れに襲われれば命はないだろう。


どうやら偶然出会ったというわけではないようだ。

かなり気が立っている様子がうかがえる。

まあ、手負いの獣は危険だというのはよく言われる事なので、魔獣に関しても同じなのだろう。


グルルルルゥゥーー


唸り声は聞こえるが、それだけでは言語解析は不可能だった。

しかし、不思議なことに何となくではあるが、彼らは横たわっている男たちを狙っているように見える。

とりあえずリンを抱え、もう一人の女の子を連れゆっくりと男たちから離れるが、彼らの視線は男たちから外れない。


ゆっくり、ゆっくりと後ずさりして距離を取る。

当たり前だが倒れたままの男たちは放置だ。


茂みの中まで入るとダイア―ウルフ達に背を向けて全力疾走で逃げる。

男たちのことは分からないが、後日偵察に行った者から訊くと彼らはいなかったが大量の血痕は残っていたそうなので多分殺されたのだろう。


今まで姿を隠していた隊長を含めゴブリンたちは合流しているが、女たちは成り行きでついてくる。

リンさんは一人で歩くのがつらいようなので手を貸し、とりあえずボアの所まで帰ることにする。

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平和な《異》世界の作り方 k3nn76 @k3nn76

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