女子小学生に容赦なき金玉キックを入れられ絶頂悶絶する男の話

中七七三/垢のついた夜食

第1話で終わり

「ああ、女子小学生に思いきり金玉を蹴り上げられたい」


 男は胸の内の懊悩おうのうを言語化し口からダダ漏れに流しだすのであった。

 もし「恋」というものがある種の「狂気」であるならば、男は狂気に侵されていたといってもいいだろう。


 金玉を蹴られたい――

 オチンチンにぶら下がる金玉への強烈な一撃を思う。

 それだけで、おちんちんが勃起し、乳首がパンパンに立ってくるのだった。

 生殖器官へのダイレクトな打撃。それは恋。


(ああ―― 俺は恋をしているのだ。女子小学生の金玉キックに……)と、男は思う。


 その思いはある種の狂気といっていいかもしれない。純粋であり混じりけのない狂気。

 狂気を一般に共用しがたい想念を抱くことであるというならば、男は狂気を内在しているといっていい。

 ただそれは、春風のように美しく澄んだ狂気だ。

 男はそのようなモノを内在させつつ鼻歌交じりにハンドルを切る。


 男は、大型ワゴン車で移動しながら、窓を全開し周囲を物色していた。

 女子小学生を物色しているのだ。

 このあたりは、通学路であり今の時間は小学生が道を歩いているからだった。


 赤いランドセルを背負った小学生――

 その清らかな少女たちの蹴り。

 ハンドルを握りながらも、それを金玉に喰らいたいという欲望がパンパンに膨れあがる。


(あああ、射精しそうだ―― この想念だけで、俺は射精してしまうかもしれない)と、男は思う。


 一切手をそえることなく、想念のみで射精に達するほど、男は「恋」に堕ちていた。

 

「ああ、蹴られたい。金玉を女子小学生に蹴られたいのだ。その衝撃はきっと得も言われぬ快感をこの身に与えるだろう。ああ、美しい女神のような女子小学生はいないものか? ああ、幼さの中にも凛とした美しさを持ち、長い黒髪を揺らすような女子小学生がいないものか? ああ、蹴られたい。俺は蹴られたいのだ。キンタマを――」


 己が耳に心地よいリズム。まるで詩歌の一節を唱えるかのように、男は女子小学生に対する崇拝ともいえる想いを奔放自在に紡ぎ出すのであった。

 それは、ひとつの文学的な美という物を心の内に持っていると言ってもよかったのである。

 ただ、男は「文弱の徒」ではなく、「エッジな実践者」なのである。

 わが身を、その金玉を、小学生に捧げるための存在なのである。

 

 金玉――

 キンタマ――

 陰嚢――

 ふぐり――

 お稲荷さん――


 言葉を換えてみたところで、それが定義するモノは同じであった。

 精巣を包み込んだ緩やかな皮膚が皺をつくり、ほどよい密度で縮れた陰毛が生えている。

 精巣では1日に何億もの生命の種が創生されているのだ。


 ああ、キンタマへの一撃を希求してやまぬ男の思いはもはや限界に達しようとしていた。

 

「ああ、このままでは想念だけで射精してしまう―― ああああ、早く女子小学生を!!」


 男はそのとき、ひとりで歩く女子小学生を発見した。

 美しい――

 そして、可憐であった。


 血のような色をしたランドセルを背負い、そこからは、まるで幼いペニスを思わせるリコーダーを突き立っていた。

 あのリコーダーをしゃぶる女子小学生の唇を思う。

 ああ―― それは血の色をした淡雪のような唇が、硬質のプラスチックの笛を包み込むのだ。

 

「何年生であろうか? 5年生? いや4年生やもしれない……」


 出来るならば4年生以下が理想だった。

 5、6年生は「女」としての成熟が見え始める存在でもあった。

 そのような、二次性徴途上の美しさも認めないわけではない。

 しかし、金玉への蹴りはやはり、二次性徴前の女子小学生が行うべきではないかと男は思う。


(それは、俺の理想ではない、あくまでも「認識」として、記号化された女子小学生を俺のキンタマが望んでいるのだろう)と、男は思うのだ。


 男は車を停めた。

 女子小学生に話しかける。

 しかし、ここで注意しなければいけない。

 

 男は狂気ともいえる想念を抱えてはいたが、紳士であった。

 女子小学生に金玉を蹴って欲しいだけだ。

 それは、現行のいかなる法に照らし合わせても、合意であれば、まったくもって正当な行為なのである。


 しかし、それゆえ、合意を得るまでには慎重を要するのだった。


「ねえ、ちょっといいかな?」


 男は車の窓から何気ない風に訊いた。後ろからだった。

 長い黒髪をツインテールにした女子小学生であった。


 女子小学生が振り向いた。

 ふわりとツインテールが揺れる。

 初夏の陽光の中に、美の粒子がこぼれ落ちていくかのようであった。


 男はハッとした。目を見開く。心音が脳天まで突き抜けるかのように鳴っていた。

 そこには美の結晶体が存在していた。


 大きな黒い瞳に、ピンクの唇。

 可愛らしく少女であることに一切の疑念を許さない鼻梁のラインとバランス。

 完ぺきな美少女だった。 


 小さく可憐な身体を夏物のワンピースで包み込んでいる。

 その肢体は、幼さの中に、ある種の妖艶さを感じさせるものがあった。

 白く伸びる脚。そこから繰り出される金玉キックはいかほどのものだろうか?


「なんですか?」


 女子小学生は、その声音にやや警戒の色を見せながら、艶やかな唇から香りのするような声を発した。


「ああああああああああああああ―― き、キンタマを…… 俺のキンタマを蹴って欲しいんだ。君に」


 何を言っているのか?

 男は思った。本来であれば、もっと紳士的な話から入り、そこで警戒心を解きほぐし、本題に入るべきなのだ。

 いきなり「キンタマを蹴って欲しい」などとは変質者の所業ではないかッ。

 そこには一切の文脈的な深みもなければ、鮮やかに女子小学生の心を捕らえる言葉もない。

 ただあるのは、己の欲望だけであった。


 しかし――

 

 男の希求する想い。それこそが恋の本質であった。

 彼の胸の内の「恋心」はあらゆる虚飾を剥ぎ取り、そこに純粋な言葉を連ねたのである。

 技巧は無い。しかし、そこには真実しかなかったのも事実あった。


「あはははは!! 変なおじさん。なんで? なんでキンタマを蹴るの?」


 奇跡であった。

 それは男の「恋」が起こした奇跡であったかもしれない。


 女子小学生は、逃げずに男の話に乗ってきた。

 しかも、その行為に興味すらもっているのだった。


「お、おじさんは、病気なんだ…… ごめん。変なことを頼んで…… 病名は「突発性インキン皮膚カタル症候群」なんだ」

「え?」

「衝撃を与えないと苦しいんだ! 蹴って欲しいんだ! 蹴ってくれ! お願いだ」


 必死であった。男は必死に願う。

 もし、悪魔という物が存在し、魂の代わりに、願いを叶えるなら、その取り引きに迷わず乗ってもいいと思った。

 その結果、己の魂が永劫の地獄で焼かれることになろうともだ。


「え、いいよ。でも、里奈は空手やってるよ。いいの?」

「本当かい? 里奈ちゃんは、格闘女子小学生なのか!!」

「うん!」


 なんということだ。

 蹴りの素人ではない。

 空手の技術を身に着けた女子小学生なのだ。

 しかも、その可憐な名前まで聞いてしまったのだ。


 里奈ちゃん――


 その名を男は口の中で蕩かし、味わうかのように転がすのであった。

 甘い味のする名であった。


「車に、車に乗ってくれ。いやいい―― そこのガード下の駐車場に車を停めるから、そこに来てくれ。待っている。お願いだ。頼む…… ああああああああああ!!」

 

 道を真っ直ぐ行ったところ。私鉄のガード下に駐車場があるのだ。

 

「おじさん、大丈夫? いいよ。乗ってあげるから、一緒に行こう! すぐだもん!」

「し、知らない人の車に乗ってはダメだ! 待っている。待っているから―― お願いだ」


 そう言って、男は車を発進させる。

 幼気いたいけなな小学生が、変態の毒牙にかかりかねない行為は慎むべきだった。

 知らない人間の車には乗るな――

 それを教えるのは紳士たる男の務めであった。


 彼は駐車場に車を停めた。

 そして、おちんちんをパンパンにし、待つのであった。

 金玉は、女子小学生の強烈な蹴りを待っているのだ。


 ああ――

 早く。


 体感時間がナメクジのようにヌルヌルと進む。


「おじさん、大丈夫? きたよ」


 ドンドンとドアを叩き、女子小学生がやってきた。

 可憐な瞳に心配の色を浮かべている。

 美しい上に、その心まで清らかな少女だった。


 このような少女にこそ、俺の金玉を捧げるべきなのだと男は想いを強くする。

 男はドアを開け、外に出た。

 周囲には人はいない。


「もう少し奥に行こう」

「うん」


 男は駐車場の奥の方へと移動する。今でも一目はないが、更に人目に付きにくい場所を物色する。

 私鉄の線路を支える高架の柱の陰まで移動した。


「さあ、ここで、おじさんの金玉を蹴って欲しい。里奈ちゃん」


 男はすっと脚を広げ構えた。心もち、腰を落とし少女が蹴りやすいだろうと思われる高さにする。


「下から、思いきり蹴り上げて欲しい。全力でだ。遠慮はいらない――」


「わかったけど、里奈の蹴りは、6年生の男子も泣くよ…… いいの本当に?」

「いいよ。里奈ちゃんは、何年生なの?」

「4年生―― 空手は小学校行く前からやってるよ」

「そうか、それはすごいね」

「へへへへ。そうかなぁ」


 可憐で可愛い笑みをみせる里奈ちゃん。

 小学4年生であった。


 その彼女が6年生男子も哭く蹴りを放つ。

 まさしく、逸材だった。

 今日の出会いの奇跡を彼は神に感謝した。


「ああ、いい。思い切りだ。蹴るんだ。どんな空手の技術を使ってもいいんだ。遠慮はいらない――」


「分かった――」


 そう言うと少女はすっと間合いを開けた。

 一陣の風の中にワンピースが舞った。

 ゆらりとツインテールが揺れる。


 ふたりをつつむ空間に緊張感が満ちてくる。

 そのヒルベルト空間内の揺らぎが、無尽のエネルギーを現出せしめんとするかのような感覚だった。


「おじさん、行くよ――」

「ああ…… いい。いつでもいいんだ」


「ふひゅッ」


 里奈ちゃんは、短い呼気を吐いた。

 そしてクルッとその身を反転させた。

 回転の遠心力でツインテールが大地と平行になった――

 そして、可憐な白い脚が伸びてくる。


 下から角度をもって、的確に金玉を狙っての蹴りだ。

 それは空手でいうところの回転後ろ蹴り。

「ローリングソバット」と言った方がイメージしやすいかもしれない。


 地から天に向かい、龍が駆け上がるかのような蹴り――

 空気が焼けるような速度をもって男の金玉を襲う。


 男は少女の足が金玉に触れ、主観時間の中をゆっくりと喰いこんでいくのを感じた。


 陰嚢が変形し、精巣がねじ曲がるような衝撃。

 そして、金玉が融けるような灼熱の熱量。

 衝撃と熱――


 男がまず感じたのはそれであった。

 そして甘美な激痛が脳天を突き抜けた。

 腰骨が砕けるかと思うような痛み。

 痛み以外の感覚がない純粋な痛み。

 金玉が内臓に喰いこみ、そこで爆発したかのような痛みだった。 


「あぐぐぐぐぐぐうぅぅっぅぅぅうううう――」


 男は悶絶していた。

 地に伏し、断続的な痙攣を続ける。

 口からは泡を吹いていた。

 

 しかし、その目だけは蕩けるように、甘美な海の中を彷徨っているかのようであった。


「おじさん! おじさん!!」

「あががああああ、いい―― いいよぉぉぉ、すごいよぉぉ、里奈ちゃんのがキュンキュンだぁぁぁぁぁ、おじさんの金玉が爆発したかと思ったよぉぉぉ。あ、ぁ、ア、ア、ア、ア――」


 激痛が薄れていき、その隙間を快感が埋めていくのだ。

 その快感は、大量の血液を海綿体に集め、おちんちんを更にパンパンにしていく。

 オチンチンは、皮膚の表面張力の限界までパンパンになっていく。

 キンタマとの激痛とのトレードオフにより発生した激烈な快感であった。


(もう一撃だ―― ああ、もう一回で、俺は射精するだろう。しかし、里奈ちゃんの蹴りで、精巣が破壊されるかもしれない)


 男は思う。それは、淫らで甘美な思いだった。

 女子小学生に、己の精巣を潰される。

 これは、男にとって、最高のご褒美であった。

 その可能性のある蹴りの威力を持つ少女――

 それに出会えたのだった。


 一期一会の射精――

 金玉キックによる絶頂オルガ悶絶を希求した。

 もし、射精の間もなく、精巣が叩き壊されたとしても、ドライオルガズムでイッてしまうことは確実だった。

 

 男はゆっくりと立ちあがる。


「さあ、もう一度―― 里奈ちゃんの全力の蹴りを……」


 男の声が風にのって、どこまでも流れて行った。

 ふわりと風の中に里奈ちゃんは舞った。

 言葉が終わらぬうちに彼女は蹴りを出したのだった。


 それは空手という武道を身に着けた者として正しい行為だった。


 再び幼い足が男のキンタマに食い込んだ。

(ああああああああああああああああ!!!!!!)


 何かがグシャっと潰れる感触があった。1個だ。ひとつ潰れた。


「あひゃぁあああああああああああ!! おぉぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅぅ―― 里奈チャーーーン!!」


 男は叫ぶと同時に大量の射精をしていた。

 砕けた金玉がドロドロになり、それそのものをオチンチンから放出するかのような絶頂だった。


「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ―― 電話番号を…… 里奈ちゃん」

「分かった。おじさん」


 それが、俺の父と母の出会いであった。

 父は両方の金玉を母に潰され、子どもを作れなくなった。


 よって、息子の俺は父の血をひいていない。

 母がそこらの男を引きこんで作ったのが俺だった。


 そんな、俺だが、父と母にはこの世に産んでくれ、育ててくれたことに感謝している。

 ありがとう――

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