こうした職業は、映画の『マイガール』を思い出す(※佐原ミズ先生の漫画とは無関係)。 しかし、『マイガール』が家族の絆と淡い少女の恋愛を訴えたのに対し、本作は情け非常のプロの世界そのものである。作中の描写はむしろジャック・ヒギンズの小説に出てくる、副業に葬儀屋をしているギャングの仕事ぶりに近い。敵役だが葬儀屋としてはプロの仕事をする。なお本作の主人公はカタギである。 さておき、滅多に見られない場面を堪能できた。
温度の感じさせない淡々とした語りから、主人公の職業の全貌が浮かび上がってきます。意外性に驚かせながらも、「なるほど!」と納得してしまいます。また彼女のお仕事を、一部でも覗き見してみたいと思わせてくれました。
エンバーマー。日本ではあまり馴染みのないお仕事かも知れませんが、海外ではとても尊敬されるお仕事であると聞き及ぶ、日本語では遺体衛生保全士と呼ばれる人のお話です。エンバーミングの描写が緻密で丁寧で、高いリーダビリティによりどんどんお話の中に引き込まれて行きます。そしてこのお話の衝撃の結末。是非とも読んで、体験して頂きたいオススメの作品ですよ。