作中でも何度か参考書籍を紹介されていますが、それ以外にもファンタジー辞典などを読み込んでしっかりと世界観を作られているように感じます。
大きなところでは詠唱や悪魔の遇し方、細かいところではソーマやアムリタなど(エリクサーは定番でもこの辺りはなかなか見ませんよね?)。
そういった部分の描写を会話や行動の間に差し挟み、話の流れを損なわないので非常に読みやすいです。
主要なキャラクターもしっかりと書き分けられており、それぞれの行動ロジックの中で好き勝手に動き回っているように感じます。ドラゴン狩りへのイリヤとベリアルの思惑とか「こいつら自由だなー」って感じで。あとは召喚された中級悪魔のテノヒラクルーと、実は濃い個性なんてところも好きですね。こぼれ話も良い。
口当たりはあっさりなのに、濃厚で奥深い世界。いかがでしょうか。
主人公は元宮廷魔導師見習いのイリヤ。
高難度の魔法を使いこなし、最高難度アイテムの作成までもサクッとこなすが、国に使い潰されるのが嫌で契約悪魔で地獄の王であるベリアルと自分の死を演出して国を飛び出した。それが始まり。
イリヤはこと魔法に関しては天才的ですが、それ以外は天然風味トラブル体質、恋愛方面は小学生並。
美麗な悪魔もカッコイイ騎士も天才魔導師(※魔法オタク)もみんなみんなスルー。
自然と周りに人と悪魔が集まってきますが逆ハーレムなのに全くそれを感じさせません。
そして主人公イリヤも周りのキャラもとても魅力的で、その世界観と共に惹き込まれます。
因みに私はエグドアルム皇太子殿下側近のエクヴァル君推しです!魔法はあまり使っていませんが、その強さと頭脳明晰な出来る男。カッコイイのです。
イリヤに想いが届く日が来るといいなと絶賛応援中です!(※多分無理)
作者様が悪魔好きだからか悪魔はとても丁寧に魅力的に書かれていて、いつの間にか天使より悪魔がいいような気持ちになります。
悪魔布教ではありませんが、天使推しの人にも是非読んでいただきたいですね。
是非ご一緒に宮廷魔導師の世界へ
当方RPG等のゲームでは術師ポジが大好きで、魔法系の技のエフェクトや呪文詠唱が好みの作品だと延々と戦闘を眺めていられる人種です。ずっと詠唱台詞というものは書き手側がいかに中二心をくすぐれるかの見せ所だと思ってきましたが、この小説の詠唱はよくあるただ『それっぽい』と感じるような、意味がどうとでもとれて雰囲気がカッコいいだけの単語を書き連ねている文章じゃないんですよね。しっかりとした魔法発動時のイメージを基に、各属性や威力に合わせた言葉選びをしているのがよくわかります。それが本当に『格好良い』んです。本文中に詠唱場面が出てくると、ついつい声に出して飽きずに何度も詠んでしまいます。はい、不審者ですね。
話のテンポが悪くなりやすいのか、ただでさえ呪文というのは省略されがちなのに、人気が高いバトル中心のファンタジーだと最近は利便性重視な無詠唱魔法が重宝される作品も多くなって、詠唱台詞の浪漫は大多数の人には感じられないものなのか…と寂しさや諦めを覚えていました。そんな中でこの小説を発見し、「そうそう、こういうのが読みたかったんだよ!!」と大興奮。理想の魔法詠唱ものにようやく出会えた感激はひとしおでした。創作を面倒に思う書き手も多いであろう詠唱文に、こんなにも真摯に向き合ってくれた人がいるとは…!考案した素晴らしい詠唱の数々を小説内で惜しげもなく披露してくれる作者さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
作中での新魔法開発の場面では、一つの言葉にも複数意味を持たせたり、全体の統一感を意識したりする詠唱文の作成過程が垣間見れます。攻撃魔法のとにかく火力を感じさせるような方向性の文章だけじゃない奥深さや、作者さんの詠唱文に対するこだわりが細部まで感じられてとても興味深かったです。
特に好きな詠唱は「討ち滅ぼせ、雷霆!」や「壊滅せよ!!」などの力強い命令形で〆るトンデモ火力な奴が多いかな。日常生活では全く表に出さない己のアレな部分を全開にできる感じが、詠んでいて非常に気持ちいいですね。同好の士はまず派手な戦闘がある第二部までは絶対に読んだ方が良いです。絶望的な戦力差のある敵に一歩も引かず、攻撃こそ最大の防御と言わんばかりに今詠める最強火力の魔法をバンバンキメていく主人公の最高にイカれた勇姿を拝めます。あ”ー自分もここぞという場面であんな決め台詞叫んでみたいわー。声に出すと己の活舌と肺活量に絶望しますが。いつかアニメでド迫力の魔法演出と共に声優さんが迫真の演技で詠んでくれたら、痺れる位格好良いだろうな~!と時折夢想して1人でニヤニヤしています。おまわりさん自分です。
清楚で大人しげで丁寧な、見目麗しい貴族娘「風」な宮廷魔導師。
実は彼女には誰にも言えない秘密がありました。
家庭的な雰囲気を持ち(でもお料理と裁縫は結構苦手な)お嬢様に見える彼女、実は強大な力を持つ悪魔を使役する「魔女」だったのです!
某海外ドラマ風に書いてみた♪
健気で儚げな美女(ぼん!きゅっ、ぼん!でわ無い、ストンストンストンだけどな)
だけど実は凄腕のモンスターハンター(中級以上のドラゴンに限るみたいなー)
そして門外不出の禁術とされる攻撃魔法の使い手で薬師として一流で、しかも
マジックアイテム作成(属性付与)までもこなす素敵な魔女様♪
質の悪い狒々爺から逃れる為に事故死を演じて他国に逃げます。
夢だった魔法アイテム職人になろう!としますが、さてそんな枠に収まらない!収まるわけもない冒険譚が今始まる!
(ドウシテコーナッタ??ゲセヌ)