えぴろーぐ(語り手:寒羽良冴子)
彼女が受け入れようとしていた者。
それは「パパ」だった。
なぜパパなのか。
何があったのか。
蓮原は、それ以上、追及しなかった。
重要なのは、彼女に憑りついていたモノが落ちたということで、全てを知る事じゃあないらしい。
恰好つけてやがる。
しかし、想像はする。してしまう。
生死感をぼやかしてまで、受け入れる事を拒否していた事実。性に関して、自暴的な奔放さを見せていた事実。そして、テツオさんが頑なにカオリさんの過去を守ろうとした事実。
あの時、入り込んでいた蓮原の事をテツオさんが「かんべんしてください」と無理やりにでも引っぺがさなかったら、どうなっていたんだろう。蓮原はそこまで見越していたのだろうか。
きっと、テツオさんには優しい嘘が隠れている。そして、カオリさんにはグロテスクで背負い難い十字架が乗っている。
ああ、なんでこの世界はこんなに生き辛いんだろう。「欲」は「優しさ」を食い物にして太り、「歪」みを産み落とす。
私もまた、その「歪」ではある。
まだ、元の姿にはなれそうもない――。
東京妖怪現代絵巻 ~蓮原土蔵事務所(怪)~ @ahab
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★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 5話
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