指先にまで

 マネキンがたまたま知性と人格を持っていて、人間がたまたまマネキンだった。
 そんな読後感を持つ本作、努力だか未練だかを延々と重ねていく姿は狂気というも初々しい(!)。初々しい。彼女にとっては毎日が新鮮な発見と検証の連続だろう。地獄の責め苦に会う亡者が、死んだとみえてすぐに復活するように、彼女の愛は死に続ける。