このレビューは多少のネタバレを含みます。
彼女は何度も時を遡っては人生を繰り返してきました。その全てで彼と出会い、そして彼の死をもって全てをやり直してきました。
これだけ書くと歴史改変のタイムリープものと思われるかもしれませんし、たしかにその側面もあります。
ですがこの物語は、彼が幸福な人生を歩み、彼女にプロポーズしたところから始まります。普通ならこのままハッピーエンドでエンディングの流れ。ですが彼女はそれ聞いて、逃げ出しました。
全てが上手くいったはずなのにいったいなぜ。読み手としてはそう思わずにはいられませんでしたが、彼女には深い苦悩がありました。
切ない中にも時にクスリと笑える掛け合いがあり、そして好きと言う気持ちについて考えさせられました。
言葉にすれば少々照れ臭くもあるこのテーマ。これを期にあなたも一度考えてみては?
それは勢いでしてしまったプロポーズ。
幼いころ自分を助けてくれて、ずっと一緒にいてくれた彼女に、プロポーズをした彼。だけど彼女は……逃げた。
失恋から始まる恋物語かと思いきや、話はそう単純じゃありませんでした。実は彼女は、大きな秘密を抱えていたのです。それは何度も人生を逆行していて、その度に彼の死を目の当たりにしてきたと言う、とんでもないもの。
死にすぎだって思うくらい、悲しい死を迎えてきた彼と、その運命を変える為に奮闘してきた彼女。
そんなに彼の事を思っているなら、何で逃げちゃったの、なんて思ってはいけません。そこには彼女にしか分からない、苦悩があったのです。
『彼』と『彼女』の二つの視点で描かれる物語。過酷な運命を変える為に迷走する彼女が、彼と自分自身の愛とどう向き合うかが、このお話の大きな見所ですね。
ハードな話ですけど、彼と彼女のキャラクターのなせる技でしょうか、重すぎる雰囲気と言うわけでは無く、優しさと温もりを感じました。
迷走した末に二人がどんな結末にたどり着くのか、見届けてあげてください。