第4話 友情は永遠に

「ミネちゃん、でもどうして君だけ話せるの?」

「冷静だね・・・」

半ばあきれたような顔をする、ミネちゃん。


「彼ら、つまりあの子たちね。

あの子たちは、もうすぐ生まれ変わるの」

「輪廻転生?」

ミネちゃんは、うなずく。


「だから自分が自分であるうちに、君に会いたかった。

ただ、しゃべらない事を条件で・・・

まあ、正確には、しゃべれないんだけどね・・・」

この世の事も夢のまた夢と、某武将が辞世の句として残したが、

眼が覚めれば、夢の事は忘れるのと、近いかもしれない。


「でも、ミネちゃんは・・・」

「私はまだ、死んだばかりだからね。これから、しばらくはあの世だよ」

「そっか・・・」

「冷静すぎるね」

「悪かったな」


しばらくの間は、ミネちゃんと話をした。

そう、ほんの短い間・・・


「雄太くん、私たちは、そろそろ行くね」

「ああ」

「タイムかプセルは、あの木の下だから・・・」

「わかった」

「雄太くん、冷静すぎ」

褒め言葉として、受け止めておいた。


気がついたら、周りに誰もいなかった。

「これで、僕まで死ねば、あのミステリー小説だな」


そう思いながらも、タイムかプセルを掘り起こした。


「あっ、これだな」

タイムカプセルを取りだす。

やけに軽い。


そう思い、中を開ける。

すると中身は何もなく、手紙だけが入っていた。


「僕宛だ・・・ミネちゃんから?」

こう書かれていた。


『親愛なる雄太くん


君がこの手紙を見ているということは、もう私たちはいないね。

実はね。君は内緒で、3年前に勝手に掘り起こしたんだ。


待ちきれなくてね。


君を驚かそうとしたんだけど、そのバチが当たった見たい。


でも、雄太くん。

君への嫌がらせではないから、むしろ逆。


もし、この場に私がいなかったら、破棄してください。

もしいたら、私が改めて告白します。


雄太くん、大好きだよ」

ありがとう。

       』


僕はそのあと、住所を頼りに、あの友達の家を尋ねた。

おじさんやおばさんは僕の事を覚えていてくれて、迎え入れたくれた。


とても、ありがたかった。


そして、最後にミネちゃんの家を尋ねたが、誰もいなかった。

そう、誰も・・・


この家はもうじき取り壊される。


でも、この春の思い出は、忘れる事はない。


生まれ変わっても、友達でいたい。

そう願わずには、いられなかった。

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タイムカプセル 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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