思ってたのと違う。
騎士団組合所に、なぜ特務大隊がいるのだろうか。まさか、祖国の誰かが、何かやらかしたのか。微かな不安を覚えた。
「ちょっと!!また泥酔した上に、ナンパですか!?毎回拾いに来る俺の気にもなってください!!」
「わぁるかったよぉぉ〜、ナンパはしてないよぉ…そんな怒らないでくれよぉ〜…」
ヴィクトリアスがレルグレフトの足にへばりつく。
「きっっっも!?離れろ、このくそ軟体動物!」
「うわあああああああああんんんん!!!ひどいよぉぉぉぉぉぉ!!!レルグレフトが、くそ酒好きクズ野郎って言ったああああああ!」
「そこまで言ってねぇだろぉがあああああ!」
…………。私の勘違いなのか?この男は、ヴィクトリアス・サー・サンタニアではないのか?
「失礼。本当に貴方の上官なのですか?」
私の記憶違いかもしれない。
「残念ながら、私の上司です。」
合ってたわ。この男が、今まで1度も尻尾を掴ませなかった、あのヴィクトリアス…
思っていた人物と違うことは、多々あることであるが、まさかここまでとは。案外、間抜けすぎて誰も気づかなかった、なんてこともあるかもしれない。
何はともあれ、あの方に報告しなければ。
「お嬢さん、もう日も暮れる。見たところ、旅行客ってところでしょう?よければ、宿まで送りますが?」
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」
とりあえず、ここから出よう。
「そうですか。お気をつけて。いい旅を!」
笑顔でレルグレフトが見送る。その後ろで、
「ばいばぁ~い、美人なお姉さん!!また会おうね~!!」
と、無邪気にヴィクトリアスが手を振っている。
ええ、また会いましょう。戦場で…
スパイに行ったら結婚してしまった。 山茶花 りんご @kagiaminonnonnonnon
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