冬っぽいもの

@nohohonn123123

  

 身も心もそして地球さえも張りつめて破裂するのではないかと思うぐらい寒い冬だった。さらに今日は、今年、いや今世紀最大の寒さだそうだ。そんな誰も求めていない情報を発信する天気予報のお姉さんに苛立ちを感じる。しかしいくら嘆こうが天に祈ろうがこの寒さは変わらない。

 早く帰ってこたつでぬくぬくしなくてはならない。そもそもなぜこんな日に外に出ているのか、つい数分前の出来事を思い出す。




 朝、冬休みということもあり布団の中という楽園で怠惰に惰眠を貪っていたところに襲撃者がやってきた。


「いつまで寝てるつもりなんだよっと」


 そんな言葉とともにそいつは楽園を破壊する。バサッと勢いよく布団をひっぺがす。布団が無くなったことにより暖かい空気が逃げ、冷気が体温を奪う。


「あともうすこし」


 情けない声をあげながらもそもそと奪われた布団を探す。しかしいくら捜そうが両手は空を切る。仕方なく目をあけると鬼がいた。いや鬼ではなく苛立ちが最高潮の母親の姿がそこにあった。鬼の、いや母親の両手には溢れんばかりのモコモコとした布団やら毛布を抱いていた。その姿はなんとなくファンシーだが、そんな戯言を言ったら月まで吹っ飛ばされるだろう。これ以上怒らせると冗談ではすまないので面倒だが起き上がる。

 そそくさと部屋を出てこたつのある部屋へと向かう。


「あっそうだ。あんたちょっとこれ買ってきてくれない?」


 さも今思いついたかのように振る舞っているがドアの隙間から紙切れがペラペラと振られていて最初からそれが目的だったのだろう。そんなことは妹にでも頼めばいいのではないかと思ったが、今日は朝から陸上部の練習で不在だった。仕方なく階段に足をかけていたのを中断しドアにまで戻る。


「お金はこたつの上においてあるからそれでお願いね」


「ほーい」


 そんなことがあり母親のおつかいを押し付けられたのだった。それも終わったことだしこたつという安楽地に一刻も早くたどり着かねば。


「うん?」


 ヒラヒラと下手くそな紙飛行機みたいににわたしの目の前に白い何かが落ちてくる。あー、わたしが作る紙飛行機はいつもこんな軌道を描いてたなあ。なんて自分の不器用さが分かるエピソードを思い出させてくれた白いなにかに少し怒りが込み上げるようなこみあげないような。白いなにかは地面に落ちると白から透明にさらに言うと固体から液体に変わっていった。そんなやつの正体はいわゆる雪と呼ばれるあれだろう。そうそうあれだよね、うん、あれ。いや決して知らないわけじゃなくてあえて言わないことで情緒を出しているのです。

 意味のないことを考えているうちに雪の降りは強くなっていた。早く帰らないとびちょびちょになってしまう。まあ幸いにも自分の家はもう見えている。わたしは駆け足ぎみに家に帰るのである。





「ただいまー」


 久しぶりに走ったせいで荒くなった息を整えつつこたつを目指して歩く。まずは冷たくなった体を暖めないと。


「うう、寒い」


「おっ、春香おかえりー」


 リビングに入ると元気よくお決まりのあいさつがとんでくる。その声に違和感を覚える。我が家ではあまり聞くことのない声だからだ。不思議に思いながらも声が聞こえてきた、そこには見知った顔がいた。


「なんでここに?」


「子どもの頃からの付き合いのわたしにむかってその言いぐさはひどいとは思わない?」


 短く揃えた髪とわたしよりも整った顔の美少女は、わたしの幼なじみの橘冬夏だ。笑顔の似合う快活な少女だ。わたしはどちらかというと暗くて地味なほうなので少し冬夏の明るさが羨ましく思う。それにしても学校指定のジャージ姿でこたつに入っているだけなのに絵になるとはこいつに似合わない景色はないのでと思ってしまう。


「橘さんは何故わたしの家に不法侵入しているのですか?」


「いやぁ、気づいたら勝手に足が動いちゃって。テヘペロ」


「果てしなくうぜえ」


「まあまあ、とりあえずおこた入りなよ寒いでしょ」


 ポンポンと自分の横を叩き布団をわざわざ上げて勧めてくる。別に断る理由もないので荷物をかたづけてこたつに足を入れる。ふう、あったかい。


「わたしの横空いてるのになんで対面に座るのさ。こんだけ誘ってるのに」


「なんでわざわざ狭いほうにいく必要があるのよ」


「昔はお風呂も一緒に入っていたというのになにを恥ずかしがることがあるんだい?わたしゃ寂しいよ」


 およよーとどう見ても嘘泣きなことが分かる演技をしているのを冷めた目で見ておく。しかし何分たっても嘘泣きをやめることはなくたまにこちらをチラチラと様子窺っていた。しかたない、今回はこっちが折れてやるか。こうなるとどちらかが折れなければ泥試合が続くし冬夏は絶対に折れたことはない。


「わかったよ。そっちにいくからもうすこしスペース空けて」


 自分でもアホなことをしていると理解しているのか冬夏の顔が朱に染まっている。それを隠すようにこちらに顔を向けることなくこたつの端に体を寄せていく。

 なんとか一人分のスペースができ、そこに体を滑り込ませる。思ったよりも狭く冬夏にどうしても体がくっついてしまう。しかしこたつの暖かさとは別に冬夏の体温が心地よく冷えきった体を溶かしてくれるようだ。


「くっくっく。こうも簡単に罠にかかってくれるものかのう」


 罠? なにを言っているのかよく分からないがなにか身の危険を感じこたつから出ようする。だが狭くてなかなか身動きができない。まるで蛇に絡めとられたようだ。


「抵抗しても無駄よ、ここから出ることはできまい。おとなしくするがよいわ」


 高笑いしながら冬夏は勢いよくわたしを抱きしめる。冬夏の力は強くまったくもって抜け出せない。わたしが抵抗できないいことが分かると手の力が弱まりわたしの体をまさぐりはじめた。冬夏の手が体をなぞる度にくすぐったくて体から力が抜ける。


「ちょっと、やめ、くっははは。ほんとにそこは弱いんだって。くっくっ」


「ほう。ここが弱点かい。それはいい情報を聞いた」


 わたしの弱点である脇を執拗にねちっこく陰湿に緩急をつけてくすぐる。その度、わたしの笑い声が大きくなる。さらにラストスパートといわんばかりに激しくなる。最後の気力をふりしぼった。


「いい加減にやめろっ!」


 冬夏の頭に本気のチョップをしこたま入れる。すると冬夏の動きがようやく止まった。その隙を逃さず冬夏から脱出した。こたつからでたわたしは捲れ上がったブラウスを整え荒くなった息と紅潮している頬が落ち着くのを待つ。冬夏は頭をおさえながらこちらを恨みがましく睨んでくる。


「うー、春香痛いよ。何も本気でチョップしなくてもいいじゃん」


「自業自得でしょうが」


「いやぁ、それは言わない方向でお願いしたい。それはそうと、お腹すいたんだよねー」


 タイミングよく冬夏のお腹が可愛らしい声をあげる。そういえばわたしも起きてから何も食べてないから空腹が限界に近い。ついでに冬夏の分を作ってやってもいいが、三箇日も終わったばかりで冷蔵庫にはたいした物は入ってないだろう。大量に余った餅はあるのでそれを使うしかないか。


「わかった、なにか作ってあげるから。冬夏、なにかリクエストないの?」


「なんでもいいよー。あっ、久しぶりに春香のお雑煮食べたいな」


「なんでわざわざわたしの家のお雑煮が食べたいのよ。冬夏の家でもしてるでしょ?」


「いやいや。うちのは白味噌仕立てで春香のはおすましじゃんか。たまには違う味を楽しもうかなって」


「そういえばそうだったね。おじさんが関西の人だったっけ」


「そうそう。だから味噌汁みたいなお雑煮なんだよね」


「わたしはちょっと苦手だなー。美味しいけどお雑煮食べてるとは思えなかったよ」


「あはは、そうなんだ。ほらほら早く作ってよ、あんまり待たすと暴れ始めるぞ。わたしはテレビ見ておくから」


「はいよ。餅は焼かなくていいんだっけ?」


「うん、そのままおつゆと一緒に入れてくれたらいいよ」


 わたしの家では焼いた餅を入れるのだが冬夏の家はおつゆと一緒に茹でるらしい。そっちのほうが早くできるから楽だけど焼いた餅のほうが美味しいとも思う。

 おっ。ラッキー、まだつゆ残ってた。これならすぐにできる。台所を探り余った餅を入れて鍋に火をかける。あとは沸騰するのを待つだけだ。具も鍋の中に多少残っていたので具を作る必要もない。

 ちなみに冬夏は料理はからっきしで前に手伝わしたらわたしの見てない間に色々とレシピにはないことをしていてとんでもないダークマターを作り出していた。それ以来、冬夏を台所に近づかせなくした。


 おっと沸騰してきた。火を止めて、お椀に移す。最後にかつお節をかけて完成だ。完成した二人分のお雑煮をこたつのに置く。ふんわりとかつお節のいい香りが食欲を刺激する。


「おおっ、うまい。胃に優しいやわらかな出汁とそれが絡んだお餅がまたうまい。さらに里芋等の野菜が食感を変えて口を飽きさせない。完璧だ」


 寝転がりテレビを見ていた冬夏がかぶりつくようにお雑煮を食べる。よくもまあ他人の家でここまでくつろげるものだと感心する。


「そんなに絶賛するほどではないでしょ」


「いやいや~、わたしには絶対に作れないからね。尊敬に値するよ」


「春香のお母さんも上手だけど春香も料理できるよね。教えてもらったの?」


「うん? そうだね、お母さんと一緒に晩御飯作ったりしたから自然とね」


 週に二、三回は母親を手伝ったりしていたら、徐々に上達していった。最初は強制でやらされていたが上手くなっていくのが楽しくて今では自分で手伝うと言いはじめるぐらいだ。母親がいわく、わたしは運動はからっきしだけど細かい作業は才能があるらしく料理以外にも裁縫や家事全般を苦もなくこなしていた。冬夏はわたしとは逆で運動ができる。こんな適当なやつでも陸上部のホープらしい。


「美味い料理を毎日食べられるとか、春香を嫁にもらう男が羨ましいぜ」


「わたしはあんたを嫁にもらう人がかわいそうだよ」


 冬夏に毎日のように振り回される男の人の姿が安易に想像できる。しかしそこにはわたしは姿形もないのだろう。いつかくるそんな未来に少し寂しさを感じるような感じないような。


「なんだとう。わたしもそのうち料理ぐらいできるようになるよ。多分、おそらくいつかはね」


「いつかってそれやらないパターンじゃん」


 冬夏の発言に呆れているが、昔からからこういう感じなので今さら気にする必要こともない。だいたい面倒くさがりで飽き性なくせに部活を毎日、一年以上も続けられていることすら奇跡なレベルだ。ようやく続けられるものができたと嬉しそうに語っていたのは本当だったのだろう。


「フッフッフ、わたしはやればできる女なのだよ。しかし今はそのときじゃない。今は春香さんに甘えさせてもらいますよ」


「はいはい。存分に甘えてください。ほら、食べ終わったら洗うからこっち持ってきて」


「ほーい」


 しばらくの間、テレビの音と食器を洗う音だけが流れる。会話はないがなぜだか心地よい。他の友達だとこうはならない。会話がないと楽しくないのかと色々考えてしまい不安になるのだが、冬夏が相手だと黙っていてもなにを考えているのか分かるので安心というか気を遣うことがなくて楽だ。冬夏のような仲になる人はもう現れないだろう。こんなこと恥ずかしくて本人には絶対言うことはない。


「たっだいまー」


 勢いよく扉を開けながら元気よく帰ってきたこと伝えてきた。


「おっ。秋穂ちゃんおかえりー」


「冬夏ちゃんなんでわたしの家に!?」


「まさかわたしに会いにきてくれたの? 嬉しいな。一緒に帰ろうと思ってたら途中で部活を抜け出してるんだもん。気が狂いそうだったんだから」


 今帰ってきたショートカットの快活少女はわたしの妹の秋穂だ。冬夏とは同じ陸上部で冬夏にとてもなついている。というか怖いくらい好意を表している。冬夏もちょっと引いている。一見すると冬夏みたいに誰とでも仲良くなれるタイプに見えるが実はわたしと同じで、人見知りをするため友達は多いほうではない。まあわたしよりは多いと思うが。


「おかげで冬夏ニウムが足りなくて死ぬかと思いました。あっ、今補充してもいいですか?」


 そう言い終わると冬夏の返事を待たずに冬夏に抱きつき深呼吸をする。幸せそうに顔をほころばせている。


「秋穂ちゃん? 好意抱いてくれるのは嬉しいけど春香が見ている前でこういうことするのはやめようか」


 冬夏が露骨にこっちを見て助けが欲しそうにしているが助けてはやらない。いつも人を振り回す冬夏が圧倒されている姿は新鮮で面白いのでもう少し見ておきたい。


「お姉ちゃん? いいえここにはわたしと冬夏ちゃんしかいませんよ」


 さすがにその発言には思うところがあるが面白いのでよしとしよう。


「その発言はさすがに春香怒るよ。謝ったほうがいいよ」


「うっ、お姉ちゃん怒ってるよね。ごめんなさい」


 素直にこっちを向いて謝る。そう真っ正面から言われると許すしかない。まあもともとそんなに気にはしてなかったけど。


「別にその事には怒ってないけど、人に迷惑かけるなっていつも言ってるよね。じゃれるのはいいけど本当に嫌がってるかの判断くらいつくでしょう」


「……おっしゃる通りです」


 ぐぅーとこの真剣な空気を全てぶち壊す緊張感のない音が響く。また冬夏だろうと視線を向けると違うと手を振っている。わたしではないから残っているのは目の前のしおらしくうつむいている少女ということになる。うつむいた顔をあげると気恥ずかしそうにこういうのであった。


「……お姉ちゃんお腹すいた」





 どうしてこうこいつらは自分で動こうとはしないんだ。こんな調子で一人暮らしなぞできるのだろうか。そんないらぬ心配をしながら鍋をかき混ぜる。鍋の中には小さな豆とかいてあずきと読む豆が陽気に踊っている。今から食べられるというのに楽しそうだな。

 腹をすかした妹が要望した物はなんとぜんざいという少々面倒なものだった。幸いにも小豆の水煮缶があったので一から小豆を煮る手間はないがさっきのお雑煮より時間がかかることは間違いない。

 いい感じに煮えてきたので塩を加える。さらに砂糖を自分の好みの甘さになるまで入れる。これがなかなか難しい。入れすぎると取り返しがきかないため慎重に入れて味見をしながら調整していく。うん、いい感じ。後はお椀にぜんざいを入れて餅を投入すれば完成だ。


「ほらできたよ」


「「おおー」」


 二人が感嘆の声をあげる。ちゃっかり冬夏まで食べたいと言ってきたため結構多めに作ったが少し余ってしまった。まあ誰かがおかわりでもするだろう。


「「いただきます」」


 二人は顔を輝かせながらお椀に箸をつける。底に隠れた餅を引き上げると小豆が巻き込まれていた。二人ともそれに大きく口を開けてかぶりつく。


「うまい!」「おいしい」


「控えめで上品な甘さがお餅に絡んでいてグッドテイストだ。さらに小豆がお餅の食感に新たな刺激を産み出している。文句のつけようがない」


 一口食べはじめると二人とも箸を止めることなく食べ進める。でもそんなに勢いよく口に入れていたら喉に詰まったりするだろう。


「うん!? ん~っ。んー」


 ああ。言わんこっちゃない。予想したように秋穂が胸を苦しそうにさする。お茶をコップに入れて渡す。


「ふー。お姉ちゃんありがと、死ぬかと思ったよ」


「そんなに急いで食べなくても誰も取らないんだからゆっくり食べなよ」


「うぅ。気をつけます」


「冬夏もだよ。っていない?」


 見渡すとおかわりを注ぎにキッチンに行っていた。


「って食べるのはや!! しかもまだ食べるの!?」


 いそいそと鍋からお椀にぜんざいを入れて戻ってきた。さっきお雑煮も食べたばかりだというのによく食べられるなあ。


「そんなに食べたら太るわよ」


 その言葉におかわりを取りに行った秋穂の動きがピタリと止まりお腹を憎々しげに睨む。


「春香と違って毎日運動してるから平気だよ~」


 冬夏はどれだけ食べ過ぎてもあまり太ることがないそうだ。もちろん運動しているというのもあるだろうが太りにくい体質なのだろう。


「そうだよ、なにもしてないお姉ちゃんとは違うんだからね」


「さいですか。でも秋穂冬休みだからって最近お菓子食べまくってない?」


「……それは考えない方向でお願いします」


 冬夏が笑う。つられてわたしと秋穂も笑う。今日みたいにゆったりと過ごすのも悪くない。この三人で過ごせる時間もそんなにはないだろう。すぐに大学受験で忙しくなるのだからたまにはこういう日もいいだろう。他人から見たら無駄な過ごし方かもしれないがわたしにとっては忙しくせわしなく過ごすよりも有意義に感じられる。


「あっー!!」


 冬夏が何かを思い出したかのように叫ぶ。


「春香ごめん。冬休みの宿題やるの忘れてた。手伝ってください。お願いします」


「はあ?」


「毎回言ってるよね、早めに終わらせろって。そろそろ学んだら。いつまでもわたしが手伝えるとは限らないんだから」


「そこをなんとかお願いします。こんどどら焼おごるから」


「わたしは青いネコ型ロボットじゃないからね」


「じゃあクレープもつけるから」


 冬夏は机に突っ伏すように頼んでくる。さすがにそこまでされて断れるほど鬼にはなれない。


「しょうがないわね。何が残ってるの?」


「さっすが頼りにしてるよ。それで残っているのは、数学と現国と物理かな」


「ほとんどやってないじゃない。それを今から二人で全部やるのはちょっときついか」


 一応進学に力を入れている学校ということもあり宿題の量はどの教科もそこそこにある。


「秋穂、現国だけでもしてくれない? 後でなんでも買ってあげるから、こいつがね」


「ちょっ!? なんでもは無理だからね、秋穂ちゃんもわたしの懐具合を考えてね」


「うーん。冬夏ちゃんを手伝ってあげたいんだけど、わたしもまだ宿題残ってるからちょっときついかな。わたしのは一人でできるから大丈夫だけど冬夏ちゃんの分までは手がまわらないと思う。ごめんね」


「そう。じゃあ冬夏宿題持ってきて。今日は寝られないからね」


 ニコリと冬夏に笑いかける。冬夏は引きつった笑いで返事をする。さあ、これからも忙しくなりそうだ。今までゆったりとしてた分を取り返そう。こんなことも今しかない日常なのだから全力楽しむのが一番だ。そう思うと自然に笑みがこぼれる。いつまでも冬夏と秋穂と一緒にいられるわけではない。いつかは離れることになるのだから、一緒にいられる間に目一杯楽しんでおかないと。


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