後半以降、ずっと泣きっぱなしでした。
霊や人ならざる存在を知覚できる神社の娘・宮子と、母親を殺された過去から修験者の道へと進んだ少年・寛太の物語です。
繊細な心の動きを丁寧に紡いでいく筆致で、あっという間に物語に引き込まれました。
宮子ちゃんはすごく共感できる主人公でした。
他人と違うせいで周りに馴染めないこと、諦めていたこと。
初めてできた友達への想いも、迷いなく強く進んでいるように見える寛太くんに惹かれていく気持ちも。
ストーリーの緩急とも相まって、どれも我が事のように感じるほどの没入感がありました。
何よりも。
寛太くんがカッコいい。ものすごく素敵です。
男らしくて、達観していて、無骨な感じもするけど常に颯爽としていて。
読み進めるほどに彼の抱える闇の深さが身に沁みてきて、苦しいほどでした。
圧巻のクライマックスは、涙が止まりませんでした。
宮子ちゃんの成長も素晴らしいし、ラストの二人並んで歩くシーンも清々しく、希望の光が見えるようでした。
凄まじい傑作です。書籍版も注文しました。
ファンタジーと思って読んでいましたし、確かにそうなんですが、現代の俗世を生きる人々の描写がとてもリアルで……。外見や振舞い、思考回路……現実を生きる人々の姿にリアリティがあるので、霊や妖にも存在感を覚えます。
今の日本で妖などの世界が見えている人は、こういう感じで生活しているのかもしれないと感じました。この話はこの日本のどこかで実際に起きたことなのかもしれない、宮子ちゃんは奈良のどこかに本当にいるのかもしれないと思える小説でした。
(個人的に、私も近隣に住んでいるので親近感がありました)。
また、文章もすいすいと読みやすくて、この連休で一気読みしました! とても面白かったです!