第15話 メモリー①
クラブ「パラダイス」の売りはもちろん自慢の美しいドールだちだったが、毎夜繰り広げられる華麗なステージもその魅力のひとつだった。
世界中からショービジネスの本場アメリカでの成功を夢見る、才能溢れるアーティストたちが集まってきていた。そのステージは華麗で、ハイレベルなものだった。そしてそのステージ芸術監督は、現在、チャールズ・スペンサーが勤めていた。
その夜のステージは、名前は伏せられていたが、特別なゲストが加わることになっていた。
その謎のパフォーマーの名前を知っていたのは、チャールズとダニエル・リーだけだった。
その日、プリンス・チャーミングは、ダニエル・リーにとって重要な情報を持つ、ある国の高官の接待を任され、その高官の相手をしていた。その政府高官は以前からプリンス・チャーミングに異常なまでの執着を示し、いつもプリンス・チャーミングを指名していた。しかしより大きな情報を引き出すために、ずっと焦らしつづけていた相手でもあった。
その日、政府高官と対峙したプリンス・チャーミングは、相手を誘惑し、その気にさせ、情報を引き出そうとしていた。情報を引き出すための、熱い口づけ。男はすっかりその気になっていた。しかしその時、ステージから世にも美しく哀しい、バイオリンの調べが流れてきたのだ。その調べを聞いた時、プリンス・チャーミングは、稲妻にでも撃たれたかのように心に痛みが走るのを感じた。そして次の瞬間、プリンス・チャーミングの体を抱きよせ覆いかぶさろうとした政府高官を、突き飛ばしていた。
「光の天使」地上編 プリンス・チャーミングとジュンス 来夢来人 @yumeoribitoginga
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