内戦の爪跡が深く残るアザニアに立つ、ストロナペスと呼ばれる超高層ビル。その姿は美しい天空城でもあり格差社会の象徴でもあった――。消滅した国の復興に交錯する思惑たち。それを本当に望んでいるのは誰なのか。自身が立つ国をより良くしたいと願う気持ちは誰にでもあるだろう。ただそうすることはそう願うことは本当に正しいことなのだろうか。祈り。祈りとは。その祈りがいつかあるべき場所へ届きますように。
復興し、再建への道を突き進むアザニアで次々と起こる奇怪な事件。それを追うコウタらが見たのは犯人が残したメッセージ。その意味が紐解かれるとき、コウタは……。事件を通して主人公へ問いかけられる問いは行間から飛び出し、余韻に浸る読者ちの心に深く切り込んできます。最後の『 』に入る言葉、それは読み手自身が決めることです。