ごめん。ありがとう。おめでとう。
◇
「あ、そうだ」
全ての謎が解けたところで、私は、一番の不安材料になっていた猫のキーホルダーをポケットから出した。
「はい。これ、雑貨屋の前に落ちてたよ」
それから。
「あと……これ」
このままの勢いで渡してしまった方が、照れが少ないと思った。私は雑貨屋で購入した髪留めを姉に手渡す。
「内緒でバイトしてたのは、実はこのためだったの。お姉ちゃんにびっくりして欲しかったから。その……黙っててごめんね」
すると、驚くお姉ちゃんは咄嗟に身を翻し、自分の鞄を漁って、何かを取り出した。
それを、照れ臭そうに私に差し出してくる。
「あ!これって……」
「うん。実は私も今日、プレゼント買ってきたの。出かけてたのは、そのため」
お姉ちゃんが手にしていたそれは、なんと、私が購入したものと全く同じ髪留めだった。
顔を見合わせ、思わず互いに笑ってしまう。
似ている。
鏡に写したみたいな笑顔が二人分、そこに並んだ。
今思えば、店員さんのあの含み笑い──あれは、私達姉妹が同じプレゼントを買ったことを、微笑ましく思ってくれていたからだったのだろう。
◇
「ありがとう」
◇
「ありがとう」
◇
◇
◇
◇
・
・
・
・
・
・
◇
◇
◇
双子の私たちは、本当によく似ている。
そして最後。
その言葉を言うのも同時だった。
「「誕生日おめでとう」」
ハッピーハッピーバースデー りう @riu_306
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます