とある会社のプロジェクトで、実際に菜園を作り、野菜を育てることになった社員たち。土には親しみのなかった彼らが、指導員の元で「自然に優しい野菜作り」を一から学び、少しずつ自然の仕組みと野菜作りに親しんでいく物語です。
——こう書くとごく平凡な自然派小説ですが、この物語の面白さはそれだけではありません。
畑での作業中に、プロジェクトのメンバーたちが次々と怪しい何かに憑依されるという怪奇現象が発生!クールなイケメンくんが突然オネエ言葉に、ガタイの良いオネエ様がゴリゴリのオジイサマ化してしまい……!?
そんな奇想天外で面白さ満点のストーリーをしっかりと盛り込みつつも、この物語の根底には、野菜作りとは人間中心の生産行為ではなく、自然の力を愛おしみながらその恵みを有り難くいただくことなのだ、という現代社会が決して忘れてはいけない大切なメッセージがしっかりと流れています。
作者様はストーリーの中で非常にハイレベルな野菜作りの知識を惜しみなく披露されています。ただ土や肥料を機械的に使役して作物を生産するのではなく、自然のことを考え、自然と同化するように愛情を持って野菜達を見つめ、育てる。そんな姿勢の一つ一つに驚かされ、深く頷かされます。
野菜には毎日お世話になっているけれど、実際にそれらがどう育っていくのかはよく知らない。そんなある意味傲慢な私たちの目の鱗を楽しく剥ぎ取ってくれる、自然への愛情に満ちた優しい物語です。
野菜作りを題材に扱った少し不思議な現代ドラマです。
ラブコメ的な要素や登場人物の職業・年齢などを勘案すると、ライト文芸系の読者層を想定した作品でしょうか。
「突如として登場人物が植物の精霊のような怪異に憑依される」というファンタジーもあって、独特な読み味のお話ですね。
個人的に少し前、ビジネス関連の書籍を読んでいたときに「近年都市部のビジネスマンの中にオーガニック野菜などの栽培/販売に関心を持って、フードビジネスへ転身する人が居る」というような話に触れまして。
以来、野菜作りには密かに興味があって楽しみながら読ませて頂いているのですが……
この作品はいい意味で「ガチめ」の内容なので、メッチャ勉強になります(笑)。
これ凄い資料を調べたんだろうなあ。お疲れ様です。
というわけで、ラブコメ小説を読みながら野菜作りの知識を勉強してみたい人は是非。
企業や個人向けのセミナーを企画するベンチャー企業のワンマン社長が宣言した今期のテーマは野菜作り。
企画運営の若手社員は実地体験をすることに。
だが、その畑には人間に憑依したトマトの精霊が……!?
トマトの精霊トマティーヌに憑依された男性社員。幽霊に憑依される者も……。
次々と起こる怪奇?現象?
憑依された人物の豹変振りに思わず笑ってしまうほど。
作中には野菜作りの知識や農法、専門知識も詳細に書かれていて、家庭菜園や農業に興味のある方には土壌作りから勉強になります。
ファンタジー要素もコメディ要素も含まれているユニークでためになるエンタメ小説です。
(20 草には草の役目がある[那須田与一] 拝読後のレビュー)
都会で働く今どきの若者たちが恋と農場に奮闘するオシャレな物語。
というのがこの物語のA面。
といういい方がすでに古いですが、この作者、むろんこれだけでは終わりません。
期待通りにカオスまみれのB面が用意されています。
それはタイトルにあるように、憑き物です。
農場と憑き物の得体のしれないコラボです。
ストーリーは混沌に放り込まれていきます。
表面的には着々と現代風の農業が実践されていきますが、しかも読者には相当に農業の知識もついていくのですが、どんどんと話が妙な方向に向かっていきます。
とにかくそれが妙な面白さなんです。
こんな面白さを考えつくのは、たぶんこの作者さんだけだと思います。
ラブコメには定評のある作者が放つ、一筋縄ではいかない物語。
物語はまだ中盤ですので、ぜひ連載を追いかけて楽しんで欲しいと思います。
ちなみにコメント欄もにぎわっております。
コメント欄も含めて連載で読むのが楽しい作品です!
今時の若手社員、小倉香菜たちは、会社が借り上げた菜園にて実地体験することになるが……。
堆肥として余すことなく活用する究極の循環サイクル技術、多種栽培によるリスクヘッジ、雨水タンクの設置、地域コミュニティ……。
今の世の中で、関心を寄せる人が多いのではないかと思う分野を、等身大キャラ目線で軽快な物語に仕上げられています。
野菜作りを通して世相を考える機会に恵まれ、とても勉強になります。
ヒマリさんの作品は、ファンタジーも素敵ですが、こちらも本当によく考え抜かれたお話で、毎話「おおお」と唸らされております。
そして、今のわたしのお気に入りは、やっぱりオネエな与一さん・笑♪
続きを楽しみにしております!(12話読了時点)