まず、最初に言えることとは、この作品が非常に作品それ自体としてとても高潔なレベルで高まっているという点です。
文章レベル、会話のチョイス、話の展開、伏線の回収。
全てのレベルが商業化されているどんな作品群にも引けを取らないレベルで文字が散りばめられているのでストレス無く完走することが容易だと思います。
また、私が言いたいこととして、間違いなく、この作品があなたの『占い』というものに対する価値観を根底からひっくり返してくれるものであるということです。
占い、というより『タロット』と言った方が正確かもしれませんが。
とにかく、読んだあとと読む前とで自分の一つの世界が大きく変わった実感をできる小説であることは間違いありません。
そして私はそう言った作品を『名作』と呼ぶことにしています。
紛れもなくこれは名作です。
素晴らしい時間をあなたに提供してくれることは私が保証します。
ぜひ、占いやタロットという単語に『うさんくささ』を感じるあなた。
この『名作』で自分の価値観、ひっくり返して見ませんか?
作者さまの学生時代が、タロットカードをからめた様々な思い出とともに描かれた青春小説風エッセイです。
毎話タロットカードについての解説もあり、まったく知識のない人でも学びながら読むことができます。
作中、非常に濃いキャラクターたちが主人公(作者)とからむことになるのですが、彼らの悩みをタロットカードがどんなふうに指摘し、どんな未来を予想するのか、またそれを受けて彼らが何を思うのか、そこに展開される人間ドラマを楽しく、時にははらはらしながら読ませてもらいました。
カードに隠し事してもだめだぜ?とは作中のセリフですが、ことごとくホントのところを暴き出すタロットカードには少し怖いものがありました。すごい世界があるもんだと、知識のない自分には衝撃でした。
どちらにせよ、作者さまの青春時代が、楽しい仲間たちとともにあれやこれやで繰り広げられる様を非常に楽しませてもらいました。読めばきっと、カードに占ってもらいたくなるはず。