まぼろしの町が誘う先に平和はあるのか。幻想の香る短編小説。

戦争で疲弊した町から一人、また一人と人間が消えていた。
町で生まれ育った警察官のナウムは、見回りの途中、黒いマントを羽織った男が町民をどこかに連れて行く現場に出くわす。
男を追いかけた先にあったのは、今は使われていないはずの廃トンネル。しかしその奥には、見たこともない町が広がっていて……。

という筋立ての短編小説。16話ありますが1ページごとの分量は少ないのでサクサクと読み進めていけるでしょう。
ジャンルが異世界ファンタジーになっているものの、それを思わせる描写はないのでホラーや現代ファンタジーの文脈でも読めそうです。

楽園は、どこにもない。
自らの手で平和を築き上げていこうとする姿勢の大切さを改めて意識させられます。