神様と過ごした100000000年間の話
おっぱな
ep.1
いせかいてんせい。
この言葉に憧れる奴はクソだ。
正直、良い事なんて1つもないぞ。
いいか?
コミュ障は一生コミュ障だ。
正直、俺にだって女が寄って来る時だってあった。
上手くコミュニケーションを取れれば、キャッキャウフフの展開になっていたに違いない。
漫画やアニメの異世界転生者はコミュ障のくせにそこらへんを上手くやり、もれなくハーレムを作っていた。
俺も最初はハーレム展開を想像し、心と股間を膨らませたさ。
異世界転生モノにありがちなチートスキルも持っていたから楽勝だと思った。
だけどさ、現実はそう甘くないって。
先ず、言葉が分からないから話しかけられても何て返して良いか分からんし、勉強するにも勉強の仕方わかんねぇし。
小中高、塾通いしてたから丁寧に教えてくれる先生いないとヤル気も出ないしな。
それに、漫画やアニメに出て来るエルフやヴァンパイアの金髪巨乳美女っているじゃん?
あれ、お前ら実際に会ってみ?
美人過ぎてまともに相手の目を見て話す事出来ねぇよ。
コミュ障かつ童貞の俺にはハードルがたけぇ。
そもそも、異世界って女の子の顔面偏差値のレベルの平均が高すぎるわ。
宿屋の娘とか農家の娘とかもムダに可愛いし、胸が極端にデカイ。
町で一番のブスって言われるレベルが地球でいう売れないグラビアアイドルだからね?
そりゃ、無理だわ。
笑顔も上手く出来ねぇし、要領が悪いから人助けをしようとして裏目に出るし、顔は不細工のまんまだし、2度言うがマジで異世界転生なんて良いもんじゃない。
とまぁ、異世界に早々と見切りを付けた俺は躍起になって異世界から帰る方法を模索した。
現状だと異世界なんて絵に描いた餅。
地球に戻り、コミュ障を直してから出直した方が懸命だと判断して、魔王12人、伝説のドラゴン20匹、魔女5人、神様12人など。
それっぽい奴等を手当たり次第ぶっ倒し、魔王13人目と交戦中にやっと親玉っぽい奴が姿を現したんだわ。
いや~。
あれにはマジでビビったね。
金髪、碧眼、黒いドレスに身を包んだ幼女。
背中には黒い羽があって、コウモリみたいな生物が辺りを飛んでた。
お前らが想像するような堕天使の姿あるだろ?
まんっっっっま!
あのまんまの姿した幼女が空から降りて来たんだわ。
真打ち登場。
俺は幼女がこの世界での本当のボスであると確信してさ、ちょっとテンション上がっちゃってよ。
「待ちくたびれたぜ」
って如何にもってセリフ言っちゃったのよ。
まぁ、普段は言えないよねそんなセリフ。
恥ずかしくてさ。
周りに笑われちゃうからさ。
対峙してた13人目の魔王もちょっと笑ってたもんね。
「こいつ、だせぇwww」みたいな感じよ、本当。
「......」
でよ、幼女もスルーしてくれりゃあいいのに、「は? 何て?」って聞き返してくるワケ。
すげぇ律儀だなコイツ!って関心したのと、渾身のセリフが聞き返された事で、俺もちょっとイラッとしてさ。
「は? お前、耳糞詰まり過ぎだろ」
って、言っちゃったんだよね。
で、相手は真のボスみたいな奴でしょ?
そりゃ、お互いプライドとプライドの塊。
他校の不良に遭遇したみたいにお互いバチバチになってよ、そっからはもう修羅場。
「あ? 何様だよ。こちとら、この世界の裏番長なんだけど?」
「は? 裏番長? 時代錯誤にも程があんだろ。あと、慣れてないのに巻舌で喋るの止めてくれる? クソウザイから」
「というか君さ、人間だよね? 私にその口の利き方していいの?」
「上から目線止めてくれない? お前こそ、社会に出てその口の利き方で生きていけると思ってんの?」
「社会とかw 私はこの世界を作った神。12神を創った存在だ。そんな存在である私が社会に出るってw ヤバw 肩腹痛いわwww」
まぁ、足をバタつかせて、腹を抱えている姿は本当に可愛いとは思ったよ。
でもさ、あの時は俺も余裕がないっていうかさ、頭に変に血が上っていたから大人の対応が出来なかったんだよね。
今思うと、あそこで俺が身を引いていればこんな事にならずに済んだんだけどさ。
「イラッ。ヤバ、あまりにもイライラし過ぎて効果音を口で言っちまったわ」
「キモッw 何だよそのシステムw」
ここまで来ると言葉で罵り合っても時間の無駄って感じちゃったわけ。
相手も真のボスだから、何となくだけど、俺が割と強いって事も分かるじゃない?
で、当然、そんな自分の強さを過信し過ぎている奴等が対話での解決なんてものを望むわけではないから自然と始まっちゃうよね。
戦闘がさ。
そっから、どれくらい経ったかな?
いや、数時間とかそんな程度の話じゃないよ。
数百年とかそのレベルでの時間経過の話よ?
惑星も原型なくなって、宇宙空間みたいな場所でずっとバトルしてたからね。
「お、おい。幸四郎。ちょっと、いいか?」
「......なんだ、リリベル。言ってみろ」
リリエン・ベルグは暴虐の神だというのにお喋り好き。
バトル中も色んな話する訳。
基本、「数千の魔王が、私を倒しに来た時も一瞬で返り討ちにしてやった」「人間はゴミとしか思ってない」「勇者っていう存在を創ったのもこの私、リリエンベルグだ」などといった自慢話しかしないけどね。
で、女って自分の事を名前で呼んだりするじゃない?
目の前の幼女も、”私”、”暴虐の神”、”リリー”、”リリベル”、”リリーちゃん”などなど。
数多の名前を言うからさ、そりゃ、自然と覚えちゃうよね。
で、お喋り好きな奴ってのは、自分が話すことが無くなると相手に対して色々と質問してくるじゃない?
最初は俺も、「お前に話す事なんてない」とか邪険にしてて、リリベルもそれに激昂してバトル継続ってパターンだったんだけど、それにも飽きてきて、しつこいから俺も色々と話して行ったんだよね。
「こっちの世界に転生して~」「異世界に来てからも魔王とか倒して~」とか色んな話ね。
人間って、人と喋らないとストレスが溜まる生き物だからさ、最初のうちは聞かれた事のみ返す受動人間だったのに、俺も段々と自主的に話すようになっていったりもした。
「幸四郎! また地球での話をしてくれ」
「地球? リリベルは本当に好きだな地球での話」
「あぁ! 好きだな! まだ見ぬ世界の話はワクワクする! さ、さ、幸四郎! 茶を煎れてやるからそこに座れ!」
「......バトルは?」
「そんなもの後で良い。話を全て聞き終わった後にでも、幸四郎を殺してやるからな! ウハハ!!!」
と、このように最近は全くと言っても良いほど、バトルをしなくなった。
お互いの実力も分かり、お互いに不死身だから何をやっても不毛であると薄々感じてはいたし、俺もバトルばかりするのしんどって思っていたから丁度良かった。
「じゃあ、今日は俺の知っているおとぎ話の話をしようか」
「ほう! 何だかよく分からんが面白そうだな! 話せ!」
被り寄り。
祖国での国技の技をかけるかのようにリリエンは俺に詰め寄って来た。
そりゃ、初めのうちは近寄られたりするのが苦手だったけど、拳と拳を突き合わせ、段々と慣れてはいくよね。
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