ある文字修理人の手記

阿部 梅吉

ある文字修理人の手記

 今日は皆さん。疲れています。僕は文字を治す人だよ。僕はこの世にある文章を僕は「治さ」なくてはならないんだ。わかる? この辛さ。

 記録によると古代のアッシリアから文字の精霊はいたらしいけれどねえわかる?昨今の精霊の多さ。2018年と言う現代における文字の精霊の多さったらないですよ。まじでやばいいんすよ、これが。やばない?卍 ってんでね…ははつ。ああ、僕としたことが着かれていてなんだがすごくマチガッテいる希ガスるなあ。ため息さえも短くなっちゃうよ…と。まったくもう。もうねえ、てんてこまい。

 だって本当に最近文字の精霊が多すぎてうざいんだもん。そいつらったらいい奴はいいけれど、悪い奴はトコ豚悪いからね。ああ、本当。文字の精霊の治し方って本当に苦労するんだ。厄介な奴は一生をかけてボロボロになるまで戦っても治らないわけ、いやマジな話。まあ厄介な奴を治すほど賞金は高いわけなんだけど、まあだいたいが無理なんだよね。僕みたいな文字修理人は現在細々と働いているわけだけど、それがまあ最近は減少中。それに反比例して増える文字の精霊。

 あーーこんなに割の悪い死ごとったらないっすよ。あ、仕事ね。ごめん。やっぱり疲れているなあ。まあこっちは命かけてるんですからね。まったく。

 つい最近、僕の古くからの仕事仲間だった奴もとうとう俳人になっちまった。じゃなくて廃人。全然違うね。ふふっ。奴は結構でかい仕事が来たってんで三カ月前に酒場で僕に教えてくれたnnだけど、詳細までは口を割らなかった。相当でかい案件だったんだろうな、今となっては何ももうわからないけれど。で、そいつ今どこにいるかって?病院。もうね、奴は奴じゃないんだ。植物状態って言うの?お見舞いになんか一℃も行っていないからわからないよ。なんか風邪の噂で聞いたんだよ、この業界、情報がすべてだから広まるときはあっと広まるんだ。あいつはもう再起不能になった、ってさ。例のごとく酒場で俺は聞いたね。でも驚かなかったよ。よくある話だからね。植物状態だけじゃない、寝たきりになったやつもいればずっと吐いているやつ、幻聴が聞こえるようになった谷津、パニック発作が出るようになった谷津。……まあいろいろでさあ。

 まあ、文字の精霊とやりあうってのは、それくらい辛い職業なんですよ、これが。もっと国から補償されても良いのに、全然法律が変わらんのよこれが。もう典型的ブラック業界。新しくこの業界に入ってくる奴は本当お進めしないね。馬鹿だと思うよ正直。まあ俺なんかはこの職業にしか憑けなかった馬鹿だから人のこと言えないけどさ。正直この職業には憑かないでくれよ、みんな。

 ああ、意識がまだあるうちにこれを欠けて良かった。みんな俺の言葉を伝えておくれ。俺は眠るよ。眠いからね。いつ起きるかは僕にもわからないけれど、とりあえず書けて良かった。そんじゃ股。

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