第8話

 交換条件として帰還を誘拐犯が提示していたのだから、可能性は小さいが元に戻すのに必要な情報を誘拐犯は持っていたのかもしれない


 魔神が言うには


 「もし、答えがあるとすれば、奴は君が撃った弾の数だけ別々の世界に散らばったはずだから、その中のどれかが知っているだろうね

 君はそれを探し出して正しい答えを手に入れなければ帰ることは出来ない

 勿論、相手がある話しだから相手が正直に本当の事を答えるとは限らないし、そもそもそんな情報を奴は持っていないかもしれない

 それを君が知る手段を君は持って無いだろう

 なので、そこだけは少しずるをしよう

 相手を行動不能にした時点で情報を吸いだせるような道具を私が用意してあげよう

 だが、それがあったとしてもどれだけの困難が待っているか想像も付かない、殆ど不可能なミッションだと思うけどそれでもやってみるかい?」


 そうだな、他にできる事も無いし、元の世界に帰られる可能性があるならやってみようと思う

 なので、そう伝えた


 「じゃあ、まずは散らばった断片集めからだね

 全てを集め終わったら、それらをまとめて私が一冊の本の形にしてあげよう

 その本を最初から最後まで読んで、理解したうえで自分の元居た座標を手に入れるんだ

 問題は、本の形になったとしても相手に協力する意思がないから、中身は読者を意識していない情報の羅列に過ぎない

 その中からどうやって必要な情報を得るか…だけど

 まあ、そこら辺は集め終わってから考えようか

 今考えることでも無いし

 君たち風に言うと取らぬ狸の皮算用って言うんだろ? そんなことに無駄な労力割いても仕方ないしね」


 「では、するべきことは理解したかな?」


 「まず、君はここから下位次元世界に旅立ち、そこで管理者の欠片を見つける

 細かく砕けているとしても管理者の欠片だから、それぞれが独立した自我を持っているし下位次元世界のなかでは突出した力を持っているだろう

 逆に言えば目立った存在になっているだろうから見つけるのは容易だと思うよ

 奴の性情からすれば独裁者とか、それこそ神を気取ったりとか、もしくは魔王にでもなってるんじゃないかな?

 能力的にはその世界基準で超人と言って良いような存在に成っていると思うよ

 君はそういった目立つ存在を探し出し、管理者の欠片だと判断できたら行動不能にする

 そこでこれを相手に貼り付けるんだ」


 と言って「付箋紙のようなもの」 を渡された


 後はそれが自動的に剥がれるまで待っていれば付箋紙もどきが勝手に情報を抜き取ってくれるそうだ


 ただ、突撃銃は今後使わない方が良いと言われた

 これで対象を撃つと下位次元に落としてしまうので今回の目的には合致していないらしい

 では、どうやって相手を行動不能にするのか? …殴るのか?

 ふむ、殴っても良いそうだが、相手は下位次元の超人、俺が同じ土俵に立ったとして突撃銃無しで倒せるんだろうか?


 そんなふうに悩んでいたら魔神が提案してくれた

 どの下位次元世界でも問題なく使えて、尚且つ有用な能力を付与してくれるそうだ

 まあ、そういうのが無かったら超人相手にどうこうは無理だよね

 貰った能力は重力子制御…なにこれぇ…凄くやばい香りがします

 その代わり、突撃銃とはここでお別れになった

 これからは重力子制御さんと仲良くしようと思います


 下位次元世界間の移動は魔神がやってくれるとの事なのでそこはもうお任せするしかない、次に魔神と会えるのは最初の管理者の欠片を回収した時点になる

 それまでは俺が一人で頑張るしかない

 何か問題が発生したら次回以降反映してPDCAを廻していくということで合意した

 さて、下位次元世界に行ってみるか!


 俺の冒険はこれからだ!


(乱読家先生の次回作にご期待ください)

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