第3話悟りの果てに

もうあれからずいぶん時間が経っていた。


ひっそりとなりをひそめる僕を、気に掛ける人はいない。


もう誰も、僕がここにいると思っても気が付かない。


僕はすっかり崩れてしまっていた。


誰の役にも立たず。

誰にも必要とされず。


僕はここで僕の終わりを感じている。


僕のうまれた意味は何だった?


僕はただ生まれただけだった。


誰に聞くこともできない。誰が教えてくれるわけでもない。

自分に聞いても、自分が分からない。


ただ、ここにいる僕に、一体何の意味があるのだろう?


それだけを考え続けて、今までここに居続けた。


でも、結局答えは見つからない。そして僕は僕の終わりが近い事を知ってる。


ああ、もう終わりだ。


結局僕はうまれただけだった。だから、最後に僕は思うことにした。


僕はうまれることに意味があったのだと


〈了〉

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ついてないよ、こんなうんせい あきのななぐさ @akinonanagusa

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