第25話 ねえ、すぐ行くからさ

「かっちゃん、わたしそんなのやだ、寂しいよ……。うわあぁーん……」

ゆい? だっ、大丈夫?」


 わたしは泣いてしまっていた。

 目の前のかっちゃんがすごく困ってる。


 涙を止めたいのに止まらない。

 へんな泣き声も出てきてしまう。

 泣きじゃくるわたしにかっちゃんが、よしよしって頭を撫でてくれてるんだけど。


 わたしの泣き声は止まってくれない。


「ふぇっ……ん」


 かっちゃんが。


「大丈夫。大丈夫だよ、ゆい。ねえすぐ俺ね、ゆいのあとに中学校に行くからさ」


 そう言ってかっちゃんがわたしをきゅって抱きしめてくれた。


「かっちゃん」

「うん。ゆい


 ……あたたかい。

 かっちゃんがあったかい。


「あのさあ。……ゆい。あのね、ゆいと離れたくないってこんな気持ち。これってゆいを好きってことなのかな?」

「えっ?」

「俺ね、それならすごくゆいのこと好きだと思う」


 抱きしめてくれたかっちゃんにこんな風に言われてわたしはまた泣いちゃった。


 今度はすごく嬉しかったから。


「かっちゃん。わたしもね、かっちゃんのことが大好きだよ」


 抱きしめてくれてるかっちゃんがフフッて笑った。


  🌸


 春になって、わたしは小学校を卒業した。

 それから、中学校に入学しても、わたしはかっちゃんとは会いたい時に会いたいって、ちゃんと言った。

 勇気を出して、きちんと伝えるようにした。

 だって。

 会いたいんだもん。

 かっちゃんの顔が見たいから。


 わたしたちは、時間を作ってクラブ活動がない日には、かっちゃんと宿題をしてる。


 かっちゃんのお姉ちゃんの圭ちゃんと圭ちゃんの好きな男の子も、わたしとかっちゃんとみんなで一緒に遊んだり宿題をしたりしてる。



 かっちゃんとは今は学校は離れちゃったけど、たくさん会えるようにしようってかっちゃんと嬉しい気分で話し合ったから。


 二人でたくさん電話とかで話をしたから大丈夫。


 寂しくないよ。


 今日も呼んでくれる。

 電話でも嬉しい。


 かっちゃんが「ゆい」って、わたしを愛おしそうに呼んでくれる。


「大好きだよ。かっちゃん」


 それを聞いた電話越しのかっちゃんが、嬉しそうな声で笑った。



        おしまい♪




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近頃なぜか気になる彼は、親友の弟くん☆ 天雪桃那花(あまゆきもなか) @MOMOMOCHIHARE

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