【創作エッセイ】男なのにこれいかに
男なのに
ホゥホゥ。フクロウ、じゃなくって袋緒にも性別はあります。一応男なんでございますわ。ネット上での性別告白を信じるかは読者次第。
しかし男性嫌悪的。元来が「女々しい」と呼ばれる趣味嗜好の性格ですし、腕っぷしも強くなければ喧嘩っ早くもなく、競争心や闘争心に薄い。まあ「男らしく」はないですね。というかそれ以前に人間嫌悪的で、「自分が人間以外の知的生命体だったらなあ」と思うこと数十年なので男なのに男性嫌悪的とか以前の問題かもしれない。
もし読者の方に【連作短歌】「坑道の青いカナリア」「射精って気持ちいい?」をご覧になった方がいたらまあ分かっていただけることですが、ぼくの立場というのはこういうところです。「表現の自由を守れ」と言いつつ、その実は男性異性愛者が気持ちよくなれる表現以外にこれっぽっちも興味のないお歴々に辟易とする毎日です。
短詩文芸の世界には入った一か月ちょっとの『素人歌人未満』ですので、そこで活躍する歌人のことはよう知らんのですが、ぼくが以前(今もだけど)主戦場としていたミステリ界隈もそれは酷い有様で、新人はもちろん中堅から大御所まで、知識と論理とを読者に求められる文筆家たちが揃いも揃ってSNSの匿名アカウントと同じようなことしか言えない有様。特にミステリは戦前に取り締まられたという被害者意識があり、これがたぶん、オタクカルチャーの被害者意識と通底しているのではと愚考する一羽の鳥なのである。
参るのはぼくが創作者として名を成そうとしたとき、こうした人間たちを相手にしなければならないということ。つまり「ポリコレなんてしゃらくせえ!」「女体を剥いてこそ芸術じゃい!」という連中が評価する作品というのはそういう作品なわけで、そこにぼくの、そうした価値観に真っ向からぶつかる作品が評価されるのかという話。文壇が男で占められるがゆえに評価される作品がある一定の傾向を持つというのも、かなり昔から言われていそうな話だなあと思う一羽である。いや一応そっちの研究分野の出なので思うだけじゃダメなんだけど。
しかし今は羽ばたくのも精いっぱいの鳥カゴの鳥。ホゥホゥピィピィ鳴くくらいしか能がない。それでもその音色に呪いと批判を載せるくらいはできて、ちょっと直截にすぎるかなと思いながらの連作短歌二編である。昔風に言うなら「背負い投げを食わせる」、今風に言うなら「最後の一文でひっくり返る」。それはちょっとハードランディングが過ぎるかなと思いつつ、ほろ酔い加減にさせたところで耳元に鋭くぶっ刺して殺すが鳥流の暗殺の技。日々精進してまいります。
のろいのうた【連作短歌】【創作エッセイ】 袋緒花緒 @hanao5555
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