アクアの着物姿

 僕とアクアは今海岸沿いの町に来ている。

 なんでこんなところにいるのか、それは今日の朝いきなりエルが「たまには二人で遊んで来て!」と言って僕たち二人を家から追い出したからだ。

 どこに行こうか迷っているうちにふと思いついたのがここだったというわけだ。


「フェルトと二人きりで出かけるなんて久しぶりだね」

「そうだね」

「ところでさ、さっきから隣をすれ違う女の人たちが着てる綺麗な服ってなに?」

「ああ、あれはキモノって言ってイナ大陸の一部の地域の民族衣装だね。なんでもその地域の人たちは何か特別な日に着る服らしいよ。・・・もしかしてアクアも着たくなっちゃった?」

「え、ううん、ただ綺麗だなぁって思っただけ」

「そう?・・・でも、あまりやることないし買わなくてもいいから観に言ってみよっか」


 僕はアクアを連れてキモノを売っている店に入る。

 店に入ると中には白や黒、青色や赤色と言った様々な色のキモノが売られていた。


「わぁ、すごい」


 アクアは楽しそうに店内を見ている。・・・やばい、めちゃくちゃ可愛い。


「ねぇねぇ、これ見て」


 アクアは何か気に入ったものでも見つけたのか僕の目の前に一着のキモノを見してくる。


「すごく可愛くない?」


 アクアが見して来たのは花柄が入った綺麗な白色のキモノだった。


「そうだね、アクアに似合いそう」

「え、そうかな?」

「うん、そこに試着室があるから来てくるといいよ」


 僕はアクアを試着室に入るよう促し店員さんを呼び少し待つ。

 数十分後、アクアが店員さんと一緒に着衣室から出て来た。


「そ、その、どうかな?」

「綺麗だ・・・」

「え?」

「店員さん、これ買います。いくらですか?」

「はい。50ゴルドになります」


 すぐに買おうと思ったが結構高かった。

 まぁ、買えない金額じゃないので店員さんにお金を渡し、購入する。


「フェルト、ありがとね」


 キモノ屋を出て、町の中を歩いている途中アクアが嬉しそうにそんなことを言って来た。

 買った甲斐があったなと僕は思った。


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異能力のお正月物語 空式_Ryo @Ryou77

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