羽根つき

 今僕の目の前の机の上には何か絵が描かれた板二枚と木の実に羽をつけた何かが置かれている。

 ついさっきだがハルトがここに来てこの二つを置いて行ったのだ。確か、イナ大陸の一部の地域で行われている羽根つきというやつらしい。

 この板で羽と呼ばれる木の実を打ち合い地面に落とした方は顔にマルやバツを描かれるというルールらしい。


「おとーさん、これやってみようよ!」


 隣で目を輝かせてみていたエルがそう言う。

 顔に何か描かれるのは嫌だが多少大人気なくても羽を僕が落とさなければいいだけだ。


「よーし、じゃあやろうか!」


 僕はエルを連れて庭に行き、羽根つきをした。


 ・・・今僕の顔にはたくさんのマルやバツが描かれている。

 少しばかり本気で相手をしようと思い構えた直後、エルが異能力を使い羽を飛ばすスピードを上げてたのだ。

 もちろんそれだけでは僕は羽を落とさなかった。でも、エルの異能力、上昇というなんでも上昇させてしまうという異能力でスピードだけではなく威力まで上げて来て僕が羽を板で打ち返そうとした直後、僕の持っていた板は持ち手の根元から折れ羽は地面に落ちたのだ。

 僕は異能力を使い板を直し、時間を止める異能力を使おうとしたがエルは異能力に対する耐性も上昇させることができ僕はなすすべもなく負けたのだ。


「エル、そ、そろそろにしないか?」

「え、なんで?」

「いや、もう足が辛くてさ」

「わかった。じゃあ、明日も相手してね?」

「いや、う、わかった」

「やったー!」


 僕はエルの悲しそうな顔に勝てず、明日も相手をすると言ってしまった。

 次の日もぼろ負けになったのは言うまでもないことだろう。

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