中性的な作家

 日本語ほど、一人称が多彩な国はないと思う。英語だと『I 』で自分ことを表せるのに、日本だと『僕』『私』『あたし』『我輩』『小生』『俺』と使う一人称でキャラの性格付けをできるほど多彩だ。僕っ子なんて概念があるのも、日本だけかもしれない。

 この『僕っ子』がtwitterでは当たり前のように存在している。普通に『僕』と自分のことを呼ぶ男性が一定数いるのだ。ちなみに女性でも自分のことを『俺』と呼ぶ人がいる。

 面白いことに、この人たちはよく自分とは違う異性だと勘違いされることが多いい。作品を読んでも、『僕っ子』の男性はは何となく女性が書いているような、もしくは女性も好むような作品を書く人が多いい気がする。自分を俺と呼んだり、男性だと間違えられる女性の物書きさんには、なぜかBLが好きな人が多いい。そして、男の人が好きになるような作品もこの人たちは好んで読んだりもする。

 どうもこの違いは、幼少時にどのくらい異性と親密にしていたかに関係するらしい。正確に言えば、お父さんとお母さんどちらと仲がよかったか。異性の兄弟はいたのか。この違いがその人の性格に大きな影響を与えているらしいのだ。

 ちなみに私にも年の少し離れた弟がいる。その影響か私はゴジラが大好きだ。あの容赦なく人の街をぶっ壊していく勇壮さがたまらない……。小さいときから弟と一緒に腐るほどゴジラの映画を観ていたのだから、そう育つのも当たり前かもしれない。ちなみに腐女子になったのは100%姉の仕業である。

 そしてこのBLが好きで書いている女性たちの中には、少なからず既存の恋愛観や結婚が幸せだとする価値観に抵抗感を抱く人がかなりの数いるような気がする。そういった物語を書いている方がときおり自分の母親について、ちらっと不満を漏らすことがある。中には結婚しろと母親が煩くて、その怒りをBL小説として昇華させた人もいた。物凄い傑作だった。

 因みに成功している女性の作家さんや漫画家さんには、BLが好きな人がかなりいる気がする。著名な人をピックアップしてもいない人を見つけるのが大変なぐらい。

 そりゃ筆一本で食べていける人たちが、既存の価値観に囚われるような考え方をする訳がない。する訳がないけれど、たぶん疑問に思うきっかけがあったんじゃないだろうかとちょっと考えてしまう。

 

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小説分析法 猫目 青 @namakemono

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