ある朝起きたら、毒虫に変化していた主人公。その不条理な運命は、彼を過酷な絶望への道へ歩ませることになる――世界的な傑作中編、フランツ・カフカが描いた『変身』。
作品が描かれたのは20世紀初頭、今からおよそ100年近く前。それから長い月日がたち、毒虫を追い詰めた『家族』という名の集まりは多様化し、毒虫を苦しめた人との繋がりも変化していきました。そして、昨今の一連の出来事の中、繋がり方そのものも新たな常識とともに大幅に変貌しています。
そんな日々の中、改めて『変身』という作品を見直したのがこの作品です。
彼はなぜあのような最期を辿らなければならなかったのか。1つの側面が、2020年代初頭の日々の中で少しづつ浮き彫りになっているのかもしれません。