第21話隣にいるのは
僕は思う。この世界から君が消えてしまうことになったら、と。
きっと僕は、阻止するために懸命に藻掻き続けるだろう。いかような手段だってとってやるだろう。傍から見たらどんなに醜くても滑稽でも、構わない。
その果てにどうすることもできないと悟ったら、もうあがくことはやめて、君の隣にいることを決意するだろう。
消えゆくその瞬間まで、君の姿を網膜に焼き付け、君の声を鼓膜に刻みつける。瞬きにかかる時間すらも惜しい。そして脳に、心に、君と過ごした時間の全てを収め、永遠に忘れないだろう。
僕は必ずそうするというのに。君は、違ったらしい。今、僕の隣に君はいない。横たわる僕の視界の端にいるのは、死の気配だけだった。
小瓶の言葉達 星野 ラベンダー @starlitlavender
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