童心へとかえしてくれる物語でした。童話調の文章ですが、その向こう側にもっとも難しい人生のテーゼがあります。雪のように無垢な心を持ち続けること。短編に詰め込むとは、お見事です。
誰もが子供の時に信じたサンタさん。大人になっても主人公の子はこの夜の出来事を忘れないと思う。ほっこりとした気分にさせてくれる一品。寝れない夜にオススメしたい。
澄み切った心を持った少女が、サンタさんと温かなやりとりをするお話。繰り返し繰り返し「雪が溶けちゃう」という言葉が出てきて、それだけ彼女にとって雪は大切なものなのだろうということが分かります。文体はポエムのようでいて、情景もしっかり浮かぶので、美しいなと思いました。
雪とか雪崩、とか冬を連想させるような美しい言葉の使い方でした。特に冬、とは関係ないようなところにも溶けてしまう、とか、クッキー、とかクリスマスや冬を題材に言い回しているのが読んでて気持ちよかった
サンタさんって、なんというのでしょうか。どことなく常人離れしているというか、浮世離れしているイメージが強かったのですが、このサンタさんは人間くさい。もっと言えば知り合いのおじさんのよう。そんな固定観念を優しく覆すような体験を、この小説でぜひ味わってください。