第11話 書くのに戻れません
『なめてるの?』
やっぱり姉ちゃん怒ってる。
いや、そうじゃないんだよ。
ほら、前、教えてもらったじゃん。
書けないときは書かないんだ、って。
それを続けてたら、いつのまにかもう四日めだったり……。
どうやったらもどれるの? これ
『それは……書くしかないでしょ』
え? だって書けないから、こうなっちゃったんだよ?
『そこまでいくと違うわね。逃げてるのよ』
……
『思い当たる節があるみたいね。書くの怖いんでしょ、英知』
……うん、実は数回戻ったんだけど、書けなくて……
プロットに詳細に書いてないところを、どういう展開にするべきかも、悩んでしまう感じで、全く手が付かないんだ。
『よし、完全に逃げてなくて、戦ってない感じなのね。一文字は書いた?』
……プロットのコピーまではしました。
でも何書いたらいいのか本当にわからないんだ。
主人公たちが一人一人分断されて、誰が本物かわからない、みたいなミステリー調のプロットなんだけど、もう最初から何も思いつかない……。
『じゃあ、そのプロットやめたら。時間の無駄』
えええええ、折角時間かけて考えたのに! 悩んだのに!
書けたら絶対に面白いよ、これ。
『いいから捨てなさい。それで、矛盾しない範囲で新しくプロット起こして。どうしても書けないってことはそのプロットは、だめプロットなのよ。書くのに力量が足りてないとか、他のプロットに比べて浮いてたりとか、そもそもの発想がおかしいとか。とにかく、そのままじゃ何も書けないと思う』
そ、そっか、もったいないけど、書けないよりはいいかな。
前に聞いた、書ける話を書かないと、ってこともあるんだね。
『あとね、これも前にも言ったと思うけど、縛られるのがダメ。視野が狭くなったら、諦めなくても試合終了。書けないってことは、あなた、まさにその状態だったでしょ?』
何も思いつかないってことは、視野が固定してるからか。
ごめん、姉ちゃん。大事なこと忘れてたよ。
『せっかく新しく考えるんだから、新しい視点でいったほうがいいかな。これ、4月終わって5月初めくらいのプロットよね?』
うん、そのくらい。
ゴールデンウィーク終わって学校にいったら~って感じで考えてた。
『じゃあ、ゴールデンウィーク主人公たちに、どこかに遊びにいかせなさい。イベントなのに勿体ないじゃない。そこから、学校での怪奇現象に上手くつなげて書いてみたら』
なるほど、イベントか。そこで、先に章のヒロインの女の子に出会って、学校で……何だか書けそうな気がしてきた。
『ちゃんとプロット起こしなさい! まあ、こんな感じで、アイデアに詰まったときは、自分に別の視点をもたせるように、現代ファンタジーや恋愛・ラブコメならイベント・行事系、異世界なら他の街、ダンジョンとか、モンスターとか、新キャラとか、頭の中に無い要素を当てはめて考えると思いつくことが多いかもね』
とにかく、自分の頭を揺さぶる感じだね。よくわかったよ、ケイ姉ちゃん!
『納得したみたいね、じゃあ続きを書きなさい!』
※今回のまとめ
固定している視野を揺さぶろう
ある程度考えても進まないときは、思い切って捨てよう
続きが書けないよっ! 英知ケイ @hkey
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