第10話 話の繋がり部分が書けないんです

『えっと、どういうこと?』



 この部分のプロットを文章にできないんだ……



――――――――――

 巨大な怪物が現れるという噂の湖に行く主人公たち

 蛇たちとの戦いになり、主人公は蛇の毒で倒れる

 佐保理は想像したものを何でも生み出す辺津鏡の力で蛇と戦うが、

 謎の女の子(アイテム蛇比礼に呪われた女の子)に止められる

 蛇は彼女を守っていたらしい。

 女の子は主人公を解毒し、立ち去る

 後に蛇の抜け殻を残して

――――――――――



 プロットにそこまで明確に書いてないこともあるんだけど、

 湖に行くところから、戦いまでの繋がりがどうしても書けなくて。



『会話とかでは書いてみた? 最初は日常系よね?』



 一度書いてみたんだけど、自然につなげるのが難しくて消しちゃった。

 部活のメンバー全員がいるところから、主人公と佐保理だけ戦わせるところがどうしても説得力があるように書けなくて。



『あなた、自分の書いた文章を消せるようになったの? 進歩ね』



 えっ、褒めるの、そこ?



『自分が書いていてダメな話の流れは、大抵他の人もダメだから。それを考えた上で、消せるのは進歩。何度もやり直して書く、一度で決めない、っていうのを守れてる証拠。プロットがあれば何度だって書き直せるからね、余計なものは消し消し上等』



 た、体現止めを多用している。リズム良い感じ?

 ケイ姉ちゃん、珍しく褒めてくれてるし、もしかして今日機嫌がいい?



『と、言ってから何なんだけど、書かないのはイケてないわね』



 からの~これですか!

 そうだと思ってましたよ、俺。



『なんで書かないの?』



 えっ? だから書けないんですけど?



『違う。前にも言ったけど、それは書いてないだけ……仕方ない、じゃあヒントあげる。前から書けないなら、後ろから、書けるところから書きなさい!』



 ……!


 なるほど、前から考えても思いつかないなら、後ろの結果から考えればいいのか。

 いつもながら目鱗過ぎるよ、姉ちゃん。


 今回のプロットの場合は……


 女の子に止められてからはもう展開決まってる気がするからこれはそのままおいとこう。

 その前からだな。



 佐保理が蛇と戦うために辺津鏡で生み出すのは、蛇の天敵だよな。

 佐保理だから可愛くないとだめだ、なるべくモフモフな動物がいいな。

 おおっマングースなんているのか、採用採用。



 考えてみると、この時主人公毒で倒れてるのか。

 最初から佐保理がいたら、こうはならないだろうし、他のメンバーがいたらそっちも噛まれそうだから、主人公はひとりで蛇に囲まれてないとおかしい。


 よし、主人公は先に一人で林に入って女の子を守る蛇にかまれたんだ。

 理由は、女の子の正体が見えちゃった、とか。

 色々な意味でこれはぼかして書いておくべきだな。

 なんかエッチっぽいけど……。

 で、後から佐保理が偶然一人で探しにきたことにする、これで完璧。


 主人公が一人だった理由はどうしよう。


 そもそもバケモノを探しに来ただけじゃインパクトが足りないというかこの部活っぽくないな。話をもたせるのも大変だ。


 湖畔といえば、キャンプやバーベキューか、日帰りなら後者がいいかな。


 うん、部活でバーベキューに来たんだ。

 目的からそれてる感があってイイ!


 蛇に襲われるのはバーベキューの後だろうから、ひとりでちょっと離れたごみ置き場にバーベキューのごみ捨てしに来た。


 か、完璧すぎる。さすがだよ、姉ちゃん。



『納得したみたいね、じゃあ続きを書きなさい!』




※今回のまとめ

 プロットの前から書けないときは、プロットの後ろから書いてみよう

 書けるところから書こう

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