第4話
9
そして、本番がやってきた。
寒空の元、マフラーをつけた私は、会場をただ見つめていた。
お守りも買った。お守りがどれくらい効果を為すものなのか分からないけれど、神でも何でも縋れるものは縋っておきたいものだ。
そうして、私は戦場へ赴く。
この先に何が待ち構えているのか――それは自分自身で切り拓いてみないと何も見えてこない。
10
そして。
あっという間に当選発表日。
私は大学の正門に立っていた。
何故一人で見に行かないのかと言われると、理由は二つあった。
一つは、一人で見に行くのが怖かったから。
そしてもう一つは……。
「あー、ごめんごめん! 待った?」
「待ってないよ。今着いたばかり」
ミキと一緒に、この結果を確認したかったからだ。
「それじゃ、一緒に見に行こうか」
ミキが手を差し出した。
私はそれを見て、手を繋ぐ。
「うん。そうしようか」
そうして、私たちは大学の正門を潜って、その向こう側にあるボードの前へと向かった。
ボードにはたくさんの番号が羅列されており、その番号を見て一喜一憂する人間が多かった。そして、私たちもまた、その人たちに入る訳だが。
「ミキ、番号幾つ?」
「私は0498。マキは?」
「私は1340。……どうかな、あればいいんだけれど」
「マキは勉強したから、絶対にあるよ」
「そうだね。その通りだよね……」
そうして、私はボードを見る。
1340……私の番号を見つけ出すまで、そう時間はかからなかった。
「……あった!」
「あった? ほんとう?」
「ほら、あれ!」
「おめでとう!」
「ミキは? ミキの番号はあったの?」
「私の番号も、あったよ」
おめでとう! と言って私たちはぴょんぴょん跳ねていた。それぐらいに嬉しいことだった。
「……マキ、忘れていたのかもしれないけれど」
ミキは唐突に言い出した。
そして、私はそれを覚えていた。
「覚えているよ。うん。あのことについての『返事』だよね……?」
こくり、とミキは頷いた。
「ミキ。私は、あなたのことが――」
春は出会いの季節。
様々な出会いもあれば、様々な別れもある。
そして、私は、今後ともにするパートナーと改めて『出逢う』のだった。
終わり
比翼の鳥 巫夏希 @natsuki_miko
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