たとえばこんな、異種間夫婦

石田 昌行

 

夫「フォッフォッフォッ(ただいま、マイハニー)」


妻「お帰りなさい、あなた。ちょっとお話ししたいことがあるんだけど、よろしいかしら?」


夫「フォッフォッフォッ(なんだい? 大事な話かい?)」


妻「ええ。実は、今日あなたの背広を洗濯しようとしていたら、ポケットの中からこんなものが(と、キャバクラの会員証をすっと差し出す)


夫「フォッ!!!」


妻「もちろん、これについて詳しい話を聞かせていただけますわよね(ニッコリ)」


夫「フォッフォッフォッ」


妻「とぼけても無駄ですわよ」


夫「フォッフォッフォッ」


妻「分身しても無駄ですわよ」


夫「フォッフォッフォッ」


妻「巨大化しても無駄ですわよ」


夫「フォッフォッフォッ(ご……ごめんよ。会社の付き合いで、仕方なく……)」


妻「ふぅ……会社の付き合いでしたら仕方がありませんわね。でもこれからは、きちんと自分を律してくださいな。あなたはまもなく、お父さんになられるのですから」


夫「フォッ……フォッ!!!?」


妻「……三ヶ月だそうです」


夫「フ……フォッー!!!(や、やった! やったぞーッ!!!)」


妻「まあ、あなたったら。大喜びなさるのは結構ですけど、そんなに何度も『死んで復活』を繰り返さないでくださいまし。ただでさえ、死んでも生き返るあなたがたバルタソ星人に、保険会社と役場の戸籍課が、ほとほと困り果てているんですから」

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たとえばこんな、異種間夫婦 石田 昌行 @ishiyanwrx

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