第7話 ポンコツ女神と無能少年
そこは見た目は空の上だった。空の上に石畳の回廊が続き、階段が各屋敷へと繋がっている。
「です代はどこだ?」
無能は見渡す。
一か所だけ雨雲の地域がある。
「あそこかな?」
少年は移動する。
竜の祭壇
磔にされたです代の前に黄金の竜、それを取り巻くように神族が囲んでいる。
輪廻のアドバイス通りに俺は叫ぶ。
「ペイン・マキシマム!」
俺の中に強大な力が流れ込んでくる。
「ペイン・ザッツ・メェルティン!」
「ペイン・オブ・ショック!」
「ペイン・オブ・カットゥス!」
決して立ち止まらず、姿を隠したまま移動し、神族を次々と倒していく。
しかし、
「何奴!?」
神竜が無能の手前に雷を落とす。
衝撃で姿気配隠しの護符が吹き飛ぶ。
神竜は目を細め、
「人間?いや、違うな。その気配は半神半人か」
「無能さん!」
です代が叫ぶ。
「このポンコツが。手間かけさせやがって。さあ、とっとと帰るぞ」
しかしそれを神竜が間に入って妨害する。
「お前が無能か。神界での蛮行、見逃すわけにはいかぬ」
「だよな」
無能は笑う。
「じゃあこうしよう。俺がお前に勝ったら俺達を見逃す。負けたらどんな罰でも受ける」
神竜はくわっ、と目を開き、
「半神半人になったからといって増長したか!死ねぇい!虫けら!」
雷が無能を直撃する!
「がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
無能は片膝をつく。
「・・・まだ生きているか。我々の血が半分流れてるだけはある」
もう一度雷を落とす。
「ああああああああああ!」
「無能さん!」
神竜は幾度となく雷を打ち付ける。
です代は神竜に、
「もう止めてください。私が、私が無能さんの罰まで受けます。だから無能さんは助けてください!」
神竜は鼻でふん、と息を吐く。
無能は震える手をわずかに上げ、
「ペイン・オブ・ショック!」
です代の拘束を破壊する。
「無能さん!」
です代は少年に駆け寄り、癒しの術をかける。
神竜はそれを見下ろし、
「よかろう。そんなに罰を受けたければ二人ともここで死ぬがいい」
それを俺は手で制す。
「その前にこれを見てくれや」
無能はです代の帽子をはぎ取り、手を突っ込む。
「出でよ!世界中の痛み!」
無能の体をあらゆる痛みが駆け巡る!
「がああああああああっ!!」
神竜は目を細め、
「何をやっている?・・・いや、これは!」
「遅せぇぇぇぇぇっ!くらえ!」
無能は神竜に手を伸ばす。
「ペイン・オブ・ワールド!!」
世界中の激痛が神竜を襲う!
「ぐぎゃぁあぁあぁあぁっ!!」
神竜はあらん限り身をよじり、悶絶し、昏倒する。
「俺の・・・勝ちだ」
「大丈夫ですか、無能さん」
「ああ、あちこちギシギシするけどな」
「何でこんな無茶するんですか!」
無能は笑い、
「お前の為だからだよ」
です代はぼっ、と赤面する。
無能はです代をそっと抱き寄せる。
「無能さん、もう一度さっきのセリフ言ってくれますか?」
「ああ。一緒に帰るぞ」
「はい・・・!」
こうしてです代と無能の波乱劇は幕を下ろした。
ポンコツ女神と無能少年 あらうさ( ´Å`) @arausa
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