主人公である凛は、社交不安症を患っている。他人の音や一挙手一投足に過敏になってしまうせいで、大学に行くことすらままならなくなる。
そんな中、願ってしまった。『独りになりたい』と。
そして彼女が迷いこんだのは、声だけしか聞こえない少年、優を除いた、他人のいない世界だった。
彼との深い関わりの中で、彼女はどう変化していくのか。
読んでいて、凛ちゃんの心理描写がよく刺さってきました。感情をそのまま表現する一人称で、移入しやすいです。
するりするりと読んでいくうちに世界へと惹きこまれ、気づいたら、凛ちゃんの目をとおしてじぶんもこの世界を見ているような感覚になりました。
間違いなく良作です。これを見たあなた、ぜひこの世界に没入してみませんか?
最新話読了時のレビューです。
まさに人間の心の真理をついている作品だと思いましたね。
「分かるわあ……」と思いながら読み続けてました。
人間は傷つくことを恐れている。
人と接しなければ傷つくことはない、だから独りになりたい。
でも、本当に望んでいることは別のことなんですよね。
人間って結局、誰かに愛されたい。認められたいんですよ。
でも、そのためには人と接しなければいけないんですよ。
独りでいる間は、それが叶うことはないんですよ。
その葛藤をとても上手く描けていると思いました。
そして人が傷つき壊れ始めるのは、意外と「他の人にとっては」そんなに重大ではない些細なことで、
作為不作為問わず、傷つけた人間も基は誰かによって傷つけられたことで生じた感情によるもので、まさに負のサイクル。
だからこそ私は思うわけです。
世界が……あと少しだけみんなに優しかったらいいのに、
物語はまだ中盤、選択を迫られる二人はどのような決断を下すのか?
そして、傷ついた二人のこれから先の未来は?
温かい目で見守ろうと思います。