概要
創世神話を演じることを求められた異母姉弟と去勢された少年のお話
二本の川が流れる平地の邑が異族の侵攻に敗けて山奥へと敗走する。
敗けた氏族の姫だったテラは純粋な氏族の子供を増やすために弟のスサに孕まされたことを恨んで、さらなる山奥へ逃れて弟を呪いながら臨月を待つ身になる。
テラに付き従うのは、かつてテラ達の氏族に征服された別の氏族出身の少年であるツクである。去勢された奴婢であるツクは静かに二人の子の誕生を待つ。
世界は姉と弟二柱の神によって生まれる、その神話にそってテラとスサの交わりが仕組まれたと知っても、ツクは黙ってテラの子がこの世に産み落とされるのを待つ。そして……というお話。
題材が題材なので、セルフレイティング全部盛りな内容となっております。
敗けた氏族の姫だったテラは純粋な氏族の子供を増やすために弟のスサに孕まされたことを恨んで、さらなる山奥へ逃れて弟を呪いながら臨月を待つ身になる。
テラに付き従うのは、かつてテラ達の氏族に征服された別の氏族出身の少年であるツクである。去勢された奴婢であるツクは静かに二人の子の誕生を待つ。
世界は姉と弟二柱の神によって生まれる、その神話にそってテラとスサの交わりが仕組まれたと知っても、ツクは黙ってテラの子がこの世に産み落とされるのを待つ。そして……というお話。
題材が題材なので、セルフレイティング全部盛りな内容となっております。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!生き汚い人間たちへの賛歌
物語の語り手は奴婢のツク。
敗走し、隠れ里からも出奔した姫である妊婦のテラの世話をして日々を過ごしているシーンから物語は始まります。
出来事はあらすじのとおりで、セルフレーティングもなるほどと思わされますが、この物語にはどこか心地よい乾いた手触りがあります。
ツクの淡々とした視線、スサの生い立ち、スサの母の思惑。
中でも力強いのは、テラの「生き汚なさ」でしょう。神話を再現するには身勝手で単純なテラは、しかし、非常に魅力的なキャラクターでした。
乾いた手触りの奥に、人の血潮の熱が感じられる、壁画のような印象の作品です。
人の手で再現された神話の結末を、どうぞ見届けてみてください。